第49話 選択肢
保健室を後にしたカオルは久しぶりに教室に入った。そこで前と違う点に気づいた。
皆が俺を見てる。あの空気だった頃とは違う。皆が俺を見ていた。
センコーすらも途中参加の俺に何の叱責もなくそのまま授業を続けた。
「アハハ!アハハ!アハハ!アハハ!アハハ!」
「どしたの?また屋上に上がったと思ったらすぐに笑いだして。」
「いや、俺もついに変人側にいったかと思ってな。」
「クラスでのあの現象?そりゃそうでしょ?久しぶりに入ってきたヤツの反応なんてあんなモノでしょ?てかさ~ニンゲン!」
「何だよ?何で怒ってんの?」
「さっき保健室出る時、自分は死神とか言ってたよね?」
「言ってたな。」
「ニンゲンは死神じゃない!ニンゲンは死神に取り憑かれたニンゲンなの!分かる?」
「そこ結構プライドあるんだ。」
「当たり前じゃん!私が死神なんだから。軽々しく死神とか言わないで?」
「軽くは言ってねーよ。ホントに死神だと思ったからそう言っただけだよ。」
「まだまだ死神になるには悪行が足りないよ?」
「足りないか。あのさ、聞いてみたかったことがあるんだよ。」
「何?」
「命奪うってのはニンゲン限定なのか?」
「というと?」
「この学校ではウサギを飼ってる、ソイツを殺しても命を奪ったことにはならねーのか?」
「う~ん。難しいね。確かに命は奪ってる。けど命には重さってモノがある。」
「重さ?」
「やっぱり重さで考えたら動物よりニンゲンのほうが重いから、しかもニンゲンを生き返らせるのに動物の命では足りないかな?」
「そうか、じゃあ数をこなせばいけるんだな?」
「そうだね。数だね。」
「そうか。まぁ、それも1つ候補に入れておくわ。」
最低な選択肢をまた増やし今日は何か悪行をしようと企みながら空の雪を見るカオルだった。
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