第39話 偶然

「ここが私の……家。」


「へー。意外とデカイな。何か誰かと住む予定だったのか?」


「う、ううん。ただ大きい方がいいかな?って」


何か言いよんだ彼女。まぁ、人には秘密がある。アカツキにも俺にも。


「そうか。なら住むにはピッタリだな。」


「ピッタリ。ピッタリだね。偶然。良かった。」


部屋を見渡す。


「ベッド2つあるじゃん。」


「ら、来客用だよ。」


「お前やっぱり変人だな?ベッドなんか買うより普通布団とかだろ?何処に金使ってんだよ?」


「えへへ………カオルの部屋はこの来客用の場所でいいかな?」


「いいよ。気にいった。」


「良かった。」


「俺の好きな白黒配色で落ち着く。」


「良かった。偶然、偶然。」


「あ、そうだ。お前の部屋は………」


「私の部屋はダメ!」


めちゃくちゃ大きな声を出した。

そして、我に帰ったのか………


「あ、ぐちゃぐちゃだから入らないでほしいな?私の部屋だけは絶対に入らないで?」


「あ、あぁ。分かった。」


急なエンジン。何かがあるのは確かだ。昔話みたいなもんだ。開ければ全てが終わる。だけどまぁ、開ける日が来るだろう。そのうちに。


「うんじゃ、何する?」


「せ、は………もう少し後がいい………」


「そうか。」


「だから料理しよ。一緒に作ろ?カオルは作れる?」


「一通りは。」


「じゃあシチューは?」


「作れる。」


「ならシチューにしよう。寒いし。そうと決まれば早く料理しよ?何入れる?」


「じゃがいも、ニンジン、ウインナー……」


「玉ねぎもいるね。」


「じゃあ俺野菜とかきるわ。」


「あ、ありがとう………じゃあ私はパンでも焼こうかな?」




「フフっ。ニンゲン。楽しそうだな?」


「一旦の休憩でもいいだろ?悪人だって休憩する。」


「悪行ポイント、今日は稼げてないぞ?」


「大丈夫だ。任せろ。夜に。」


「ホントか?にしし!楽しみにしてる。」

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