第24話 クズ
翌朝。今まで日課だったガラス割りが無くなったことで気分的には久々の登校のような感覚。今日は空気になりながら放課後どんな悪行をするか考えようとしている、そんな時。
臨時のアナウンスが流れた。
学生の皆さん体育館へお越しください。
何の用事かも分からないのでダルいし抜けるかと思ったが廊下がぎゅうぎゅうで抜けるに抜けられず仕方なく体育館に行くことにした。
集められた生徒は全員立ったまま話を聞くようだ。
「え~、皆さんおはようございます。」
そう言って喋りだすのはうちの学校の校長、白髪に無精髭、ありきたりな冴えないおっさん、いや、おじぃさんが正しいか。そんなジジィが話し出す。
「昨日私の車と教頭先生の車が誰かによって破壊されました。」
バレるわな。ガヤガヤする生徒達。
「私たちは出来ることなら犯人探しをしたくない。だがあの車には私の大事な思い出がたくさん詰まっていたんだ。娘と初めて出かけた海、そんな娘を送り迎えする時、嫁がお腹に宿した命を必死に我慢して病院まで連れていった思い出。そして新しい家族とともに帰ってきた思い出。そんな思い出がたくさんの車をぐちゃぐちゃにされた。私はこんなことを生徒に言いたくないがやったヤツはクソだと思う。罰則もつける。もし何か知っているモノがあれば話してくれ。早急の対応をもと………」
「おぇ、おぇ、おぇ、おぇ。」
「きゃあ!何?」
「先生!」
「先生!生徒が嘔吐して倒れてます!」
嘔吐して倒れたのは
カオル。
腕につける悪行ポイントが加算された音だけが聞こえた。
そして目の前が真っ暗になりざわざわとした生徒たちのざわめきも応答を待つ教師の声も聞こえずプツンっと糸が切れたようにそこで記憶は消えた。
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