第16話 消えかける良心

階段を登り到着した先は、


「開いてんのか。管理悪っ。」


屋上。


少し雪が降る中、1人屋上で下の喧騒がおさまるのを待つことにした。


「呼ばれなくてもじゃじゃーん!死神だよ~!」


無駄に高いテンションについていけない。


「何だよ。急に出てくんな。」


「見えないんだからいいじゃん!それより、悪行ポイント見て!」


「あ?」


ポイントを見ると5ポイントたまり15ポイントになっていた。


「いや~素晴らしいよ!1人であれだけ暴れるなんて。空気とか自分で言ってたのに。空気じゃないじゃーん?」


「…………かもな。」


空気に徹していたのは何も目指すモノがなかったから。今目指すモノがある今なら空気じゃなくて俺は悪魔にでもなれる気がした。


「それよりあの女。サキ、だっけ?何?好きなの?ニンゲンのこと。」


「知らないし。デリカシーないよな。」


「死神にデリカシー求めるのが間違ってるよ!」


「サキは幼なじみだよ。リンが生きてた頃はよく遊んでた仲だ。だけどリンが死んでからは接点はない。」


「ニンゲンが自ら切ってるんだね?」


「………………腹立つけどその通り。」


「いい子だね。だけど悪行計画には邪魔になりそう。絶対言っちゃダメだしバレたらダメだよ?」


「言わねーよ。言う気もねー。」


「ま、使えるニンゲンかもしれないけどね?まぁまぁそこは置いといて。ニンゲン。今日の悪行はこれだけにする?」


「ポイントためれるならまだするけど。」


「じゃあ、やるか。」


「何すんだよ?」


「またガラスってのもつまんないじゃん?だから。喧嘩しようよ。」


「喧嘩?」


「ヤンキーいるんでしょ?そこのヤンキーにちょっかいしに行こうよ。」


「ちょっかいって?」


「まぁ、任せなさいな。私に。私に任せてくれたら解決だよ!」


「あっそ。」


もう朝ガラスを割ってからカオルの良心というモノは消えかけていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る