第15話 惨め

1度家に帰りギリギリに登校するようにした。バレてない、なんてことはなかった。


「誰だっ!こんなことやった馬鹿はっ!?」


生徒指導のハゲが怒ってる。

周りの生徒からは


「またどうせあのヤンキーたちだろ?」

「懲りないよな」


という声が聞こえる。

そううちにはヤンキーがいる。だから隠れ蓑になるのかもしれない。

そんなことを想いながら変な目線を受けるのは嫌なのでさっさとクラスへと脚を運ぶ。

そしていつものように空気と化す。





昼休み。クラス全員が動く中でカオルは動く気が起きなかった。ただ悪行ポイント10と書かれた目盛りを読んでるだけだった。

そんな時


「カオル………」


呼ぶ声が、そこには


「一緒にご飯どう?」


「サキ」


サキ、幼なじみのサキだ。


「いらない。食わない。」


「いや………食べたほうがいいよ?お腹すくし………私奢るから!」


「いらないって。お前はお前で仲間と食えよ。」


「…………カオルだって友達だもん!だから一緒に食べようって………」


涙を浮かべるサキに周りの視線は冷ややかだ。


「アンタさぁ?サキが気を使ってアンタみたいな陰キャラ誘ってあげてんの、分かってる?」


「アヤノ………そこまで言わなくても……」


「いや、言わなきゃ!コイツ自分に酔ってるんだよ!何?何なの?高校入ってからほとんど喋らずただただ寝てばっかりの毎日を過ごしてるアンタ。そんなことしてもカッコ良くないから?ただただ惨めよ?何?昔に何かあった訳?」


ピクっと、カオルの筋肉が動く。


「いじめ?何?アンタみたいなヤツ確かにいじめとかされそうよね?ダサっ。それで人と関わるのやめるとかマジでダサっ………」


「アヤノ!もういい…………」


カオルはアヤノと呼ばれる人物の後ろにある壁に思いっきり握りこぶしを叩き付ける。

元々ボロい校舎はその握りこぶしの跡を残した。


「は、え、え?」


「うるせぇよ。ブス。知った口聞くな。別に俺は惨めでいいよ。惨めなままでいいよ。だからお前らは関わってくんな。もう今後。」


そう言って階段を登るカオル。


「あ、う、ちょ………」


どもるサキの声など聞こえなかった。



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