第14話 普通のままでは救えない

朝5時。まだ寒くて暗いそんな中。


「ニンゲン。ニンゲン。」


「あ?」


「起きろ。起きる時間だぞ?」


死神が目の前で手招きしていた。

字だけ読むともう死ぬのかな、と思ってしまうが違う。




「寒っ。」


「寒いのか!寒いって感覚私にはないからな~!」


「うるせぇよ。」


「何?お腹減った?おにぎり握ってきたから食べる?」


「何で死神がおにぎり握るんだよ。」


「ちなみに梅干しね。」


「………………」


「腹が減っては戦はできぬって言うからね!」


死神から渡されたおにぎりをカオルは食べる。こんなこと思いたくないが人の作った食べ物を食べたのは久しぶりだった。それが死神とは思わなかったが。




「ついたね!学校!でかいね!」


「無駄にデケーんだよ。」


「デカイ方が悪行しがいがあるよ!」


「で、何をするわけ?悪行悪行って言うけど。」


「とりあえずこれ。」


死神から渡されたのは


「ハンマー?」


「ガラス割っちゃお!」


そんな軽々しく言うことではないよな。


「何処割る?目立つところがいいよね!あ、職員室とか?」


死神に言われるがまま進む。


「じゃあ職員室の窓割っちゃお!」


「……………」


ガラスにうつる自分を見つめる。

明らかに震えていた。


「アレ?悪行するんじゃないの?悪さしないとポイント貯まらないし妹ちゃんは生き返ることはないよ?」


「わかってる………わかってる………」


「ここまで来てチキンになるの?やっぱりその程度の願いなんだね。悪行も出来ないようじゃキミには妹を救うことなんて出来ないよ。また、ね。」


また、その言葉でカオルの意識は飛んだ。


パリン、パリン、パリン、パリン、パリン、



息があがる中ガラス欠片ばかりになった周りを見つめる。

ガラスのなかで立ち尽くすカオルに死神は意地悪く話しかける。


「やれば出来るじゃん。ニンゲン。吹っ切れることが大事だからね。」


はぁはぁ、っと息があがる中、悪行ポイントが上がった。10ポイント上がった。

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