第9話 死神との会合

次の日。外はやはり雪で通行止め。学校は今日は休みになったと連絡が届いた。父の職場も雪のせいで仕事ができないらしく休みになり今父は居間の畳に横になっていた。

コートを手にし、一言、コンビニに行っていると言った俺はコンビニではなくある場所に向かっていた。そのある場所は。


「寒っ………」


着込んできたがやはり寒い。風も冷たい。


「……………」


昨日の夜、あの少女が現れた場所。そこに脚を運んでいた。聞きたいことがあったから。昨日はそれで眠れなかったから。

だが、その少女を呼ぶ方法が分からない。

こんな辺鄙な地、誰もいないのが普通だ。だが昨日はそこに少女がいた。

どうすればいいか分からない。分からない時は。


「お~い!死神ぃ!!」


声に頼るしかなかった。

おかしな呼び掛けだと思うだがヤツの名前も何も知らない。なら、死神、そう呼びしかないのではないか。そう思ったのだ。

誰もいない白い雪の中に消える声。

もう一度叫ぼうか、そう思ったその時。


「君面白いね?死神、って普通呼ぶ?」


「名前知らないし。それに死神だってのもお前が言ったことだろ?」


「え、この期に及んでまだ死神だと理解してないの?マジで?え?プレゼントあげたでしょ?」


「プレゼントって………これのことか?」


腕につけていたゴムを見せる。


「そうそれ!大事な妹のゴムでしょ?ありがたいでしょ?」


「何でお前が………」


「うん?」


「何でお前がこれを持ってるんだよ……」


「持ってる訳じゃないよ?ただ君のポイントに合わせただけ。」


「ポイント?」


死神はにちゃっと嫌な笑いかたをする。そして、


「カオル君だよね?」


「何で名前………」


「死神だから~。」


「…………続けろ。」


「カオル君さ。君には後悔してることがあるんじゃないかい?」


「後悔?」


「まぁ、ざっくり言えば妹リンちゃんの死についてだ。君はそれのせいで人生を捨ててる。」


「…………だからなんだよ。」


「捨てる神あれば拾う神有りって言葉知ってる?その拾う神が私なんだよ。」


「死神が何を言ってんだよ………」


「君は聞いたでしょ?何でも叶えられる死神の話。私が叶えてあげるよ。

妹、生き返らせてあげるよ。」


「……………どうやって………」


「答えは簡単!

君が悪者に、君が悪行をすればいいんだよ?」

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