花札のやり方を教えて欲しい。

 正直、面倒くさいと思う。この仕事は別に自分でなきゃいけない理由はない。ただ、居心地が良いだけだ。

「京様の登場!」浩二が大胆に紹介する。

「おはようございます。」いつもの様にお辞儀をして会議室に入った。会議室と言ってもちょっとした溜まり場だ。

「おはよう京君、今日はよろしくね」斎藤珠姫、今日の相方はこの人だ。珠姫さんは[e01y]に片足を踏み入れてはいるが、正式に組織の一人ではない。正確には[2131]に所属している看護隊の一人だが実力は確かで、本来なら[gpp1]に入るべき人材だと思う。

「よろしくお願いします。今日の仕事内容を教えて下さい。」

「今日はね、オーストラリアに行こう!」gpp1の多くが海外勢なため想像はしていたがいざオーストラリアとなると息を飲む。

「こんな、純日本人では足を引っ張りませんか?」e01yにも二、三人は海外圏の方がいる。確実にその人の方が良いだろう。

「今日のはきょーちゃんじゃなきゃいけないんだよ、頼む!」頼られる事は嫌いじゃない。寧ろ嬉しくてしょうがない。

「分かりましたよ、」

「ジェット機はちょっぴり我慢してね、マカロンで許して」「マカロン…!」浩二と珠姫はにっこりと笑みを浮かべた。

「純粋に笑ってくれる子がいてよかった。」

「だな、」先日、gpp1の隊員が集団で精神科送りになったらしい、e01yの隊員も数名辞めてしまった。恐らくこの業界は今、途轍もない人手不足とメンタルケアに追われている。

「早速行きますか?」「うし、」浩二が意気込んで部屋を出て行った。

「僕、この服じゃ目立ちませんか?」

「人気者になれると思うわよ」珠姫は黒のスーツを着ていた。

 

 風に少し仰がれながらジェット機に乗る。飛行機は苦手ではあるものの乗れはした。然し、ジェット機は怖すぎて耐えられそうにない。浩二に見守られながらジェット機は空へと飛び立った。

「京君、海外は初めて?」

「はい、ずっと京都に居ました。」組織も京都に集中している為、ほぼ京都から出たことのない京は電車や飛行機が苦手である。とにかく目を瞑って今を耐える。数分して丁度気道が安定した。

「その様子じゃあ無理もないか、震えてるよ、水飲みな」珠姫が冷えた水のボトルを蓋を開けて京に渡す。然し、京は手がガクガクでまず口まで運べなかった。

「恥ずかしいな」

「あらまぁ、重症ね、ストローでどう?」

「ありがとうございます」ボトルにストロー入れた事でガクガクしながらも飲むことができた。

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