第2話



今日は外に用事があったから、嫌々外に出た。行くのは、住宅街。


目的地には歩いて行く。護衛は、ティルがいるから大丈夫。


そしたら、


「誰かー!捕まえて!ひったくりよ!」


と誰かが叫んだ。

こんな所で泥棒が現れるなんて、珍しいな。


そんな事を思っていると、そいつはこっちにくる。左手にはさっき奪ったとされるバック。右手には刃渡り五センチぐらいの果物ナイフを持っていた。

刺さった所が悪かったらイチコロだ。


めんどくさいと思いながら

俺は無詠唱で魔法を放つ。


「グハッ!」


俺は、頭に強めの風を当て、倒れるとこに、上から下に重力を駈けるように、風を放つ。これで大抵の人は動けない。


「これ、返して貰うわ。はい、中身無かったら言ってね」


とカバンを返す。


「ありがとうございます!」


「きみ、もう二度とやるなよ」


「クソッ!」


強盗が、反抗しようとしたのか、顔を上げようとしてくる。


「ファイヤソード」


俺は脅しのため、手から火の剣を出す。


「ひぃ!」


「焼かれたい?それとも、斬られたい?それか、このまま、風強くして、体潰そうか?」


「フレム様。警官の方が来られております」


見れば、騒動が聞こえたのか、警官達が来ていた。


「分かった」


「預けますか?」


「あぁ。そうするよ」


俺は足早にこの場を離れるのだった。






目的地に着いた俺は、その家のドアを叩く。


「はーい!」


「フレム・リティアです」


「お待ちしておりました。どうぞ」


ここは、家系の人全員、水属性を持つ

ウォード家。今日はここに訪問しに来た。


「どうもフレム様。私は、フリア・ウォードです」


「よろしく。フリア」


フリアはウォード家の長男で、水、氷属性を持っている。


「実は、次の国守選抜何ですけど」


国守選抜。それは一部の、力の持った奴しか出来ない。


これに優勝すると、国守の一員になれる。だが、これはあえて、表向き。


国守で永遠とこき使われる。

だから、俺は国守選抜には二位で止まるつもりだ。


「どうですか?僕と実力勝負と行きませんか?」


「何で?」


めんどくさいんだがな。


「まぁ、僕は国守になるつもりなんて無いです。それは、フレムさんも同じでしょう」


「あぁ」


「だから、本気で、挑みたいんです」


「良いよ。でも、お互い、隠してる技は使わない。これでいいか?」


「はい」


外に出る。そして、


「制限時間は一時間。相手が戦闘不能、降参したら、やめな」


「はい。では、参ります!」


俺は、相手の様子を見る。


「ウォーター」


水で、剣の形を作る。

そして、それを凍らせる。


「アイス」


魔術か…。


一部の人は、本来使える、火、水、雷、風、光、闇魔法以外の魔法を使える。

凍らせたり、木を生やしたりできる。

俺はそれを、魔術と呼んでいる。ちなみに非公認だ。



少し、本気出しますか。

「フレム!」


自身の名である炎を放ち、氷を溶かそうとする。

だが、氷の剣は炎を切りつける。


「そんなんじゃ、僕にな勝てないですよ」


「そのようだな。フレムソード」


そう詠唱すると同時に風魔法で前に飛ぶ。

火力を高めろ。そうしないとあの氷は溶けない。


「はぁぁぁぁぁぁ!」


「!?」


フリアはギリギリ避ける。


「フレムさん、殺しにかかってませんか!?」


「そりゃあ本気の戦いだからな」


「そんなの聞いてませんよ!」


と言いながらもフリアはこちらに向かって攻撃してくる。


その攻撃を剣で受け流す。


「これで!」


また攻撃してこようとしてきた。

俺はパリィして、首スレスレに剣を突き立てる。


「フレム様の勝ち」


「審判ありがと。ティル」


「どういたしまして」


「強いですね」


「フリアも」


「強いのに、何故それを、表に出そうのしないのですか?」


どうやらフリアは俺が外で初級魔法しか打たない事に疑問を抱いていたようだ。


「過去にちょと…」


それは転生する前に起きた、事件。

俺が自殺しかけたあの今でも、吐き気のする、あの…!


「フレム様?」


「あっ…!悪い。取り乱した」


「今日はもう、ゆっくり休みましょう」


「あぁ」



そのまま俺は帰った。




夜。フレムの部屋。



やべぇ。あの事を思い出すとこだったぜ。


コンコン


「入って」


「フレム様」


「ティルか。何だ?」


「甘やかしに来ました」


「…何で?」


「今日の模擬戦。決着がついた時、苦しそうな顔をしていらっしゃいました」


「気付いた?いや、流石に気付くか」


「はい」


「甘えたくない」


「甘やかします」


ティルは俺を寝せて、膝枕してくれた。


「いいって」


「良くないです。貴方が良くても、私が良くないです。死後も、気にしてしまいます。なんならその、原因を呪います」


「えぇ…」


「何か、文句でも?」


「過去の事でうじうじしてる男って嫌じゃない?俺的にはカッコイイとこ見せたいんだけど」


「気にしないで甘えてください」


「ティル…。昔、遠い昔、いじめられてたんだ」


「!?いじめた相手は!?その人を今から探して酷い目に合わせます!」


「無理だよ…、凄く遠くなんだ」


「それでも…!」


「俺は、ティルのその言葉だけで嬉しいよ」


「フレム様…」


「いいんだ。俺はそれが怖いだけなんだ。もう、終わったのに」


「終わってないじゃないですか!フレム様の中ではトラウマという形で残ってるんですよ!終わってないじゃないですか!」


「ティル…」


「私はそれが許せません。その人の事も。そんな風になってしまったフレム様に気が付けなかった私も」


「ティル、もういいんだ」


「よくないです!」


「だってそれ以上の物に会えたんだ」


そう言いながらティルの頬に触れる。

ティルはその行動に顔を赤くしながらも


「それじゃあ、私はそれを消せるくらいフレム様と一緒にいますね」


そう言って、ティルは俺にキスをした。


「さっきので、もう結構忘れてる気がする」


「そうですか。それは良かったです」



その後ドキドキしながらも、

俺はそのままティルの膝の上で寝た。



翌朝。


昨日の恥ずかしさでティルとまともに目が合われない。

そんな時に、


「フレム、貴方に婚約者が出来たわよ」


そんな事を言われた。



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