第4話 本音

なんか、今日初めて共演した人、ベタベタしてきて嫌だったな…



あーあ…そろそろやめ時かな。



昔からずっと憧れてた “アイドル” という存在。



でも、実際は苦労してばかり。

ファンの人達の応援のおかげでここまで来れたけど


私には最初から向いてなかったのかな…


そんな気持ちを押し殺して、私は玄関の扉を開けた。


        (ガチャ)


「一也さん、今帰りました〜…」

あれ、、、この曲って……最近出した新曲の…


「あ、ヤベ」


え?………………もしかしてバレちゃった?


「あ、いや!!これは違うんだ、沙奈!」

そんな一也さんの焦ったような声が部屋中に響いた。


「…な、内緒にしてくれます???」

どうしよう、1日目にしてバレるなんて…!!


「………………………………………」

そう言うと、一也さんは黙ってしまった。


「か、一也さん…?」


か細い声で名前を呼んだ瞬間、ものすごい勢いで一也さんが土下座をした。


え、か、一也さん!?!?!?!?


「本当にわりい!!!沙奈の大事な手を汚すようなことをしちまって!!

あー、俺今すぐ出てくから!!!」


「あっ、!待ってください、!!!!私全然気にしてませんからっ!」


今すぐ出ていきそうな一也さんを私は必死に引き止めた。


「じ、じゃあ、俺なんでもするわ!!」

「え、!?………………………………………代わりといってはなんですが、この家にいつでも寝泊まりとかしていいですよ…。」


むしろ、その方が心配ないし……でも、迷惑だよね。


       (ポタッ)

?ぽた、って…………………!?!?

「一也さん!鼻血っ!!」

「全然ご褒美…」


そして、気付かぬうちに半同棲生活となる2人なのであった。


続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

昨夜助けたヤクザに好かれてしまったのですがどうすればいいですか? つけだれ @taredayo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ