第19話
そんなわけで。
朝比奈さんは一旦散髪道具を取りに戻り、俺達は髪を着る為風呂場にやってきたんだが……。
「いやなんで水着なんだよ!?」
後から入ってきた朝比奈さんに思わず突っ込む。
なにを考えているのか、朝比奈さんは水着に着替えていた。
しかも何故か先程買ったのとは違う黒いビキニだ。
「だって散髪したら髪の毛つくじゃん? 水着なら終わった後にシャワれば済むし?」
この通り、本人は全く気にしてない様子だが。
「だからってビキニはないだろ!?」
こんなのほとんど裸だし!
むしろ裸よりエロいまであるし!
風呂場というシチュエーションもあり、余計にエロく感じてしまう。
「露出度高い方が楽でしょって話。あとこれ去年買って一回しか着なかった奴だから、折角だしついでに着とけ的な?」
「それで妙に小さいのか……」
胸なんかパッツンパッツンで今にも中身が零れそうだ。
下もお尻に食い込んで、ムチッ! と肉が乗っている。
焼けた四肢と胴体の真っ白い焼け残りも相まって凄まじくフェチぃ。
高二の童貞が直視するにはあまりにも刺激の強すぎる格好だ。
「それな……。まさか一年でここまでキツくなるとは。これじゃお古の水着絶対着れないし。新調しといてよかったし」
朝比奈さんが苦しそうに左の胸をたゆんたゆん、右手でビキニに乗った腰回りのお肉をプニプニする。
早くも頭の中のグラボが発熱し、慌てて俺は視線を逸らした。
「って事で、早速切ろっか!」
両手にクシとハサミを構えると、朝比奈さんがお風呂用の椅子に座る俺の前に陣取った。
どたぷんっと、目線の位置でスイカが揺れる。
「うぉ!?」
「なに!? びっくりした!」
ビックリしたのは俺の方だが?
ヤバいだろこの光景!
朝比奈さんが髪を切ろうとすると、必然的に巨大なペェが鼻先で揺れる事になる。
むんわりと汗ばんだ朝比奈さんの匂いも香り気分はまさに4DX。
「や、やっぱビキニはヤバいって! せめて上になにか着てくれ!」
「え~」
朝比奈さんは不満げに口を尖らせると。
「なに黒田君? もしかして、硬派な癖にあたしの水着姿にドキッとしちゃった?」
イタズラっぽくニヤニヤしながら煽って来る。
「当たり前だろ! 硬派だからってそんな裸みたいな格好されたら普通にドキドキするっての!」
「いや裸って。流石にそれは大袈裟でしょ」
呆れると、朝比奈さんは風呂場の鏡を振り向いた。
「………………ぇ?」
朝比奈さんは固まって、茹蛸みたいに赤くなった。
どうやら脳内イメージと現実の姿にかなりのギャップがあったらしい。
「ほら見ろ。恥ずかしいだろ」
「べ、別に!? 全然恥ずかしくないですけど!? 去年だって着てたし!? こんなの全然平気ですけど!? で、でも、黒田君が困るって言うから仕方なく着替えて来るんですけど!?」
露骨に慌てると、朝比奈さんは一旦引っ込んで上にTシャツを着てきた。
「これでよし!」
「いや、よくないだろ……」
Tシャツを着てくれた所まではいいのだが。
髪の毛対策なのか、朝比奈さんはTシャツの裾を鳩尾の辺りまでまくって縛っていた。
おかげで余計に胸が強調されている。
ていうか、シンプルにビキニとTシャツの組み合わせがエロい。
「どこが!?」
全部だよと思いつつ、説明出来ないので「もういいよ……」と諦めた。
そんなわけで朝比奈さんの散髪が始まる。
シュッシュと霧吹きで髪の毛を濡らし、大きな髪留めを何個も使って髪の毛をまとめていく。
朝比奈さんの動きに連動し、目の前で胸の膨らみが巨大な振り子みたいにゆさゆさ揺れる。
かなり刺激的な光景だが、思ったよりも気にならなかった。
それよりも、朝比奈さんのプロみたいな手際の良さに見惚れてしまう。
「……なんか本格的だな」
「ま~ね。これでもレイヤーだし? ウィッグ造りで慣らしてるから」
「ウィッグ?」
「カツラの事。アニメのキャラって大体派手な髪の色してるでしょ? 地毛じゃ無理だから似た色のウィッグ使うの。ある程度髪型の種類はあるんだけどさ、そのままじゃ使えないから自分でイイ感じにカットするみたいな?」
「……なるほど。なんか凄いな……」
簡単そうに言うけれど、迷いなくハサミを入れる朝比奈さんの姿は本物の美容師さんみたいだ。
なんか大人みたいでカッコよくて、俺は普通にドキドキしてしまう。
「いやいや、全然凄くないから。ただの慣れ。黒田君も練習すればこれくらい余裕で出来るようになるから」
「いや無理だろ。そもそも練習する気さえ起きないし……」
「あたしにもそんな風に思ってた時代がありました。でもさ、コスプレハマったら自然と出来るようになっちゃうわけ。ウィッグの出来がコスの出来左右すると言っても過言じゃないし。イイ感じのウィッグなかったら自分で造るしかないじゃん? てか、買ったのそのまま使える事なんか絶対ないし。頑張ってウィッグ造っていざ付けてみたらなんか違ってチョ~悔しくて。次こそはって思ってる内にみんな上手くなってくもんだよ」
「……なるほどな」
正直俺には理解出来ない世界だった。
多分それは、やってみなければ分からない事なのだろう。
それでも、楽しそうに語る朝比奈さんを見ていると、コスプレってのは楽しい物なんだろうなという事だけは伝わってくる。
いつの間にか、俺は朝比奈さんの揺れるおっぱいが全く気にならなくなっていた。
それよりも今は、真剣な表情でハサミを動かす朝比奈さんに釘付けだ。
「ふぅ! ざっくり切ったけど、黒田君毛量多すぎ! 見てよこれ! 羊みたい!」
朝比奈さんが床に落ちた髪の毛を鷲掴みにする。
言葉通り、大量の癖毛が巨大な毛玉みたいだ。
「や、やめろよ……。なんか恥ずかしいだろ……」
「え~? なんで? 恥ずかしがるところ?」
「知るかよ。恥ずかしい物は恥ずかしいんだよ」
抜け落ちたチン毛を拾われるのと同じだとは言わないが。
なんかこう、恥ずかしい……。
「あはは! 黒田君って本当シャイだよね? てかアッチ~!」
当然ながら風呂場にはエアコンなんかついてない。
リビングのクーラーも流石にここまでは届かないので、文字通り蒸し風呂と言った感じだ。
元より汗っかきの朝比奈さんだ。
全身に滝のように汗をかいており、時折ポタポタと大粒の雫が俺の上に落ちて来る。
まぁ、散髪用のテルテル坊主みたいなマントを被ってるから、身体につく事はないんだが……。
残念だなんて思ってない。
本当に!
それよりも、ずっと気になる事があった。
大量の汗により、Tシャツがピッタリと胸に張り付いていた。
生地もスケスケで、今にもズレそうな黒ビキニと巨大な胸が丸わかりだ。
それだけでもキツいのに、風呂場の中にはモンモンと、朝比奈さんの甘い体臭が濃密に香っていた。
別の意味で悶々として、俺はそっと顔を伏せた。
散髪用のマントを被っていてよかった。
理由は今更言うまでもない。
「ほら黒田君! 顔上げて! 切りづらいでしょ!」
「お、おう!?」
ビクッとして顔を上げる。
仕上げに入っているのだろう。
職人の顔つきで目を細めた朝比奈さんが慎重に毛先を整える。
眩しい程に綺麗な腋を、一筋の汗がキラリと流れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。