昔話詰め合わせのネタ和え
黒蓬
昔話詰め合わせのネタ和え
むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんがいました。
ある日、いつものようにおじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行いきました。
おじいさんが山へ柴刈りに行くと、山の中に大きな桃と光り輝く竹があった。不思議に思い近づいてみると、中から音〇ウナと獣神〇イガーが出てきた。ビックリしたおじいさんは思わず叫んだ。
「うな重じゃーー!!」
はっ!と気づくとおじいさんは自分の寝床で目を覚ました。
「な、何じゃ夢じゃったか」
よく分からないまま一息ついていると「目が覚めましたか。よかった。」と後ろから声を掛けられた。ばあさんか?と思い振り向くとそこにはうな重が心配そうにこちらの様子を伺っていた。
「夢だけど夢じゃなかったーー!!」
思わずそう叫ぶとうな重はその声に驚いて形を崩し、トロトロのとろろになってしまった。思わず驚かせてしまったことをおじいさんが詫びると、とろろは「気にしないでください。これが私の望みでした」そう言ってドロンっと次の瞬間には子供の姿に変わり「そんじゃさいなら~!」とすたこらさっさと走り去っていった。
突然の出来事にしばしあっけにとられていると、ふと壁の一か所に目が留まった。そこに掛けてあったはずの大事にしていた反物が無くなっていた。
「泥棒じゃーー!!」
気づいた時にはもう手遅れだった。
反物を失ったことを悲しんでいると、畳の中から一人の女神が姿を現してこう聞いてきました。
「あなたが盗まれたのは金の反物ですか?それとも銀の反物ですか?」
「いいえ、どちらでもありませぬ。わしが盗まれたのは普通の反物じゃ」
おじいさんが答えると、女神は微笑んで答えた。
「あなたは正直者ですね。褒美にすべての反物をさしあげましょう。但し、布の袖口はのぞかないでください。決して、決してのぞかないでください」
そう言って、その場に三つの反物を残すと畳の中に消えていきました。
おじいさんは大切な反物が戻ってきたことに驚き、畳の下に消えた女神に大層感謝しました。しばらくそうしていましたが、ふと女神の言葉を思い出しました。どうしてあんなことを言ったのだろう?と。
気になってしまったおじいさんはつい袖口をのぞいてしまいました。
すると、なんということでしょう。袖口の中からおじいさんの大好きなおむすびがころころころりと転がり落ちてきました。
「おむすびころりん うれしいな」
思わずおじいさんが喜んでいると先ほどの女神がまた現れました。
「私はこの畳に付いた付喪神でしたが、おむすびを転がされてしまったので、もうここにはいられません。長い間大切に使って頂きありがとうございました」
そういうと女神は転生の門を潜って消えてしまいました。
「め、女〇転生じゃーー!!」
はっ!と気づくとおじいさんは自分の寝床で目を覚ました。
「な、何じゃいまのも夢じゃったか」
「おじいさんや、大丈夫かい?」
近くで聞こえた声に振り向くと、おばあさんが心配そうな顔をしながら雀の舌をちょん切っていました。
「ば、ばあさんや。何故雀の舌をちょん切っているのじゃ?」
「洗濯をしていたらこの雀が洗濯のりを食べてしまったのさ。だから、代わりにこの雀を食べてやろうと思ってね」
すると雀はおばあさんの意識がおじいさんに向いた隙をつき、飛んで逃げようとしました。
「逃がすな!撃ち落とせーー!」
おばあさんが思わず叫ぶと庭の木でカキを食べていたサルがしぶ柿を思い切り投げつけ雀は大ケガをしてしまいました。
それを知った雀の仲間たちは麻を持って復讐に立ち上がりました。
「朝まで麻雀で勝負だーー!!」
麻雀でカモにされたおばあさんとサルは、家の角から現れた黒服の男に捕まって連れていかれてしまいました。
咄嗟に身を隠してその場を離れたおじいさんは「どうやら撒いたようじゃ」
と呟き、その後も見事逃走に成功して賞金を受け取り幸せに暮らしましたとさ。
おしまい。
昔話詰め合わせのネタ和え 黒蓬 @akagami11
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