第3話 呪い
「ここ、は、、、?」
「目が覚めたか、さあ、これを飲め」
やけに豪華な内装、清潔感のある目の前の男、俺の服も整えられたものに変わっている。
「さあ、飲むんだ」
男に無理やり差し上げられたその液体は、緑色で、とても飲み物とは思えない匂いが漂っている。
(飲みたくない)
俺は一応、首を左右に振る。
「なんだ、自分で飲めないなんて、手か首を骨折してるのかい?飲ませてあげるよ」
そうして俺は得体の知れない液体を無理やり飲まされた。
途端に体中の痛みや傷がみるみるひいていき、ボロボロだった体はもうなくなっていた。
「これで安心だ。さあ、ベッドから出て大丈夫だ」
そして俺はベッドから飛び出すと、すぐさま鏡を見る。
(赤眼は、、、このままか。しかし、体中の傷という傷が無くなってる、、、それと、すごい清潔感のある服装)
俺は部屋から飛び出る。
するとすごく久しぶりに見る、【階段】がそこにあった。
一段一段丁寧に降りていく、そうだ、そういえば俺、生まれ変わりだった。
しかし、なぜか1段降りるだけでもこんなに疲れるなんて、こんなに体力なかったけか?
階段を降りてすぐに果物とその側に置いてあるナイフを手に取る。
果物を食べる、久しぶりの食料でとても美味しかった。
ナイフは試しに振ってみようとしたが、振り回せるものの、ぐらついてしまい、体幹や筋力がこんなにも少なかったと感じる。
「効いているようでなによりです」
「うわっ!びっくりした!」
「言葉遣いも大分丁寧になりましたね、まだ躾のしがいがありそうですが」
男は俺の側に急に現れ、変なことを話し出す。
あれ?そういえばこの男は誰で、俺は何者で、俺はなんでナイフを振り回して、、、
「さあ、寝ましょうか」
男は俺を抱き抱えると階段を登って行く。
ーーーー
「しっかし、あの赤眼のガキは随分やってくれたみたいだな」
「あいつを躾けてたはずのジャガーは、どうやら【殺し】を教えていたようで」
「ったく、命を粗末にするなとあれほど、、、まあいい。売りもんを殺人鬼にするような人間とは俺も付き合いたくねえ。にしても、あのガキの今の推定値段はいくらだ?」
「見積もりますと、推定金貨1億枚分かと。あと5年は伸びると思われます」
「いくらだ?」
男同士の会話、しかしその内容は人身売買だった。
ボディーガードのいる部屋で、酒を飲みながら話している。
「推定金貨3億枚分かと」
「いいな、それではあと5年待とうか。あれを飲ませておけ」
「ああ、【あれ】ですね」
ーーーー
古来より、それは神の涙とされていた。
神の涙は緑色のようで、その緑色の涙は赤眼の人間にだけ効果を発揮するのだという。
効果は対象を半永久的に弱体化させる。
思考力、判断力、体力、筋力、魔力、ありとあらゆるものすべてを弱体化させる。
しかし、神は気ま、、、
ーーーー
瓶の紙はここで破れている。
まあ、これを寝ているあの子供に飲ませればいいだけだろう。
そして飲ませ、寝かした。
人身売買で、これほどこの子供を大きくする必要があるか?
この子供にかかる費用のほうが大きく、、、って、この子供はジャガーが育ていたんだった。
あいつは組織の裏切り者だ。
忠誠を誓い、大勢を殺め、子供をボスの言うまま育てて、殺しを教えて、組織を抜け、子供を育てるのに注力した。
そんなあいつの死に方は、殺し屋に魔力のこもった刃のひと刺し。
情けねえよ、あいつは、あいつは、もっとすげえやつなんだ。
この赤眼の子供のせいで、、、
(赤眼、俺はお前が心底憎い)
正直、今からでも手にかけたいくらいだ。
しかし、ボスの命令に従わないこととなり、俺は殺される。
【やっちゃえば?】
「!?」
何者かの声、しかし、、、ここで赤眼を殺しても、、、
【ボスも殺しちゃいなよ、こいつとまとめて】
「誰だ!さっさと出てこい!」
、、、
そこに訪れた一切の虚無、その虚無を破ったのは、、、
「どーも、雇われてないけど来ましたー!死に体、、、ですよね?」
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