第93話 Biri-Biri


夜が明け、子供達が起きた処で、念の為避難させておいた全員が戻って来た


 朝食を食べながら、シヴと二人の天使を紹介して、今後の事を話し合う


「まあ、そんな訳でアタシとミカとアーシュは天界に殴り込みカチコミに行こうと思ってる

 取り敢えず、オデンとか言う親玉をブッ飛ばす!」

「オーディンです、ミカエラ様」


「おでん、美味しいねバラキエラ♪」

「私、大根が好き♡」


「これは暖まりますね、シヴ様!」

「玉子にもしっかり味が染み込んで、実に味わい深い!こんな美味しい食べ物は天界にも無いわ!」

 アガリアが仕込んだ「おでん」は、天界組にも好評だ


「このカラシを少し着けて食べると、また格別よね♡」

「サリー、幾ら好きだからってエルサエラにカラシは早いわよ!」


「ママ、チクワ頂戴」

「はい、あ~ん♡」


「わらひは、あんほひっへもひゅーふひがひへはいおほ」

「ルーシー、食べながら喋らないでって、いつも言ってるでしょ?」

「ほへんははい」


「でも、確かに牛スジとワインは合うわね♪」

「今ので良く分かるわね?」

 ルシフェラが訳分からない言葉で喋ったのを、ミカエラが的確に言い当てたから、アシュタローテは呆れている


「いや、このサツマアゲと米酒が、また合うのよ」

 ペンティアムは、朝から熱燗片手に箸が止まらない


 何しろ家族が増えた上に、客が五人も居るから、食事風景も大騒ぎだ


 厨房ではアガリアとデュアルコアとツマツヒメが懸命におでんのお代わりを用意している

「ちょっとヴォルカノ?火が強過ぎて鍋に穴が開いちゃったじゃない!?」


「いやだって、早く沸かせって姉さんが……」

「口答えしない!」パシーーーン!

「アギャッ!」

 アガリアの鞭が唸る


「ツマちゃん、大根の皮剥きが終わったら、さっさと輪切りにして下茹でして頂戴?イフリースはタコを捌くのに何時までかかってる積もり!?」


「でも、コイツじっとしてなくて……イタタ!吸い付くな?ワーーーッ!登って来た?」

「さっさとお湯に放り込んで、茹でてしまいなさい!」


 厨房も戦争だった


 そんな家族団欒も終わって


「まあ、天界へカチコムのに、クレスとお姉ちゃんセレロンには移動をお願いするとして、アギー、デュオは子守りをお願い」

「もちろん!」

「お姉ちゃんに任せて♡」

「分かったわ」

「安心して行って下さい」


「で、ラムエラとバラキエラは今回はお留守番ね!」

「えーーー!何で?」

「私も行きた~い!」


 二人共、一緒に行けると思ってただけに不満そうだ


「駄目よ、最大戦力ミラクラである貴女達はここで家族を護って?

 シヴ達がここに居る以上、戦力を空には出来ないの、サリーは二人の監督をお願い」


「分かったわ」

「え~」「狡いなぁ、お母さんだけ……」


「二人共、聞いて?」

 サリエラが不満気な子供達に言って聞かせる


「ミカエラが言う通りシヴが居る限り、ここも絶対安全とは言えないの、いつ天界の新手が攻めて来るか分からないのよ」

「「……」」

「その時、頼りになるのは貴女達二人ミラクラよ?

 ミリーは一番強いんだから!」

「分かった!」

「私たちで家族みんなを護るのね?」


「お願いね、頼りにしてるわ」

 サリエラは二人を、優しく抱き締める


「天界は、地獄同様こことは異なる位相空間に存在するから、幾ら空を飛んでも行く事は出来ないわ

 私が大聖堂上空に亜空間ゲートを開くから、そこから突入しなさい」


「お願いします、師匠」

 ミカエラがペンティアムに頭を下げる


「面白そうだから、私も貴女達が帰って来るまで、ここでヨルちゃんの話し相手でもしてるわ」


「天界土産に期待してねルーシー♪」


「オーディンの生首とか勘弁してよ?」

 ルシフェラが軽口を叩くと


「それは是非、私に!」

 シヴが本気でお願いしてくる


 「ま、まあ旦那さんは責任持って解放してあげるから、安心して?」

 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る