第90話 Encore
アズラエルとアリエルが慌てて立ち上がると、腰の剣に手を伸ばそうとするが
「次は首を跳ねるぜ?」
ミカエラの低いトーンの一言で、動きが止まった
左手にワインボトル
右手は顎を支えたままで、とても素早く動けるようには見えないが、言葉通り、自分達が剣を抜くより先に首を跳ねるだろう
「超高級な絨毯なんだから、汚さないでよ?ミカエラちゃん」
「ちぇっ、そっちの心配かよルーシー」
「……聖女ミカエラ様、いえ、ペンティアム様?
これは一体……?」
「見ての通りよ、ルシフェラとこの娘は、とても仲が良いの」
ペンティアムは何でも無い様に話すが、天界の神々からすれば、とんでもない破天荒だ
「勿論、この私ともね」
ダメ押しの一言で、シヴ達に余計な口を挟む隙を与えない
神気は隠されていても、神格はペンティアムの方が遥かに上だ
「そう言う訳だから、少なくとも此処に居りゃあアンタ達は安全さ
だけど、私の家族に手を上げようって奴ぁ許さねぇ」
「あら、その家族に私も入ってる?ねえ」
「当然よ、ルーシーはマブダチだからね♪」
「あはっ、ミカエラちゃん大好き♡」
ルシフェラがふざけてミカエラに抱き付くと、アシュタローテが間に割って入る
「私のミカエラに馴れ馴れしいんだよ、テメー
少しは遠慮しやがれ」
ソファーの後ろからミカエラに抱き付くと、頬にキスしてきた
「あらアーシュ、焼き餅?」
唇にキスを返すと
「幾らでも焼くさアンタの為なら」
明けの明星ばかりか、堕天使アシュタローテとまで仲睦まじい様を見せつけられ、シヴと天使二人は唖然とし、開いた口が塞がらない
ジロリとアシュタローテが三人を見て
「何ジロジロ見てやがる、殺すぞテメー!」
「し、失礼しました
あの、ミカエラ様とそちらの方のご関係は?」
「「夫婦よ」」
「ミカエラは六人の花嫁が居てね、それぞれに子ももうけて居るわよ」
ペンティアムが説明する
「はあ、六人……」
「天使のミカエル
ムーンドラゴンのクレセント
悪魔のアガリア
ヴァルキュリアのサリエラ
シスターのデュアルコア
堕天使アシュタローテ
ああ、結婚はしていないけど、スラスタードラゴンのセレロンにも、子供が産まれたわね」
「あの……失礼ですけど、ミカエラ様はその、女性……ですよね?」
「何よ、ワタシが男にでも見えるって言うの?失礼しちゃうわ!」
「いえ、ですがその、女同士で?」
「天界は遅れてるのね、こっちじゃ全然普通よ?」
地上でも女同士で結婚した挙げ句、子供まで産まれたと言うのは、ミカエラくらいな物だが
(ちょっと聞いた?アリだって……)
(知らなかったわ、良いんだ……)
ミカエラの開き直りを聞いて、アズラエルとアリエルが何やらヒソヒソ話をしている
「断っておくけど、全部向こうから求婚して来たんだからね?私はホントは男が良かったの!」
「アンタに釣り合う男なんて、居る訳無ぇだろ」
何故かアズラエルとアリエルがふんふんと、真剣に話を聞いている
「それとも、アタシじゃあ不満だとでも言いたいのか?」
アシュタローテが後ろからミカエラの首に腕を回し、顔を引き寄せると優しくキスをする
と、反対側からミカエルが甘えてキスを催促する
「アーシュばっかり、狡いですう」
「うん、ごめんね♡」
アズラエルとアリエルは、その光景を食い入る様に見詰めていた
「今日もお母さん達、仲が良いね」
「そうね、私達も仲良くしないとね♡」
ラムエラとバラキエラも意味深な台詞を口にするのだが、大人達は気付かなかった
「やれやれ、乱れとるのうこ奴等は……子供の教育に良くない影響を与えておるのじゃ」
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