第81話 CAN YOU CELEBRATE?


中天になると、ラムエラとバラキエラも参拝者への祝福の儀を、教会詰めの司祭やシスターと交代して戻って来た


「ただいま戻りました」

「お腹減った~!疲れた~!」


「お疲れさま、ご免なさいね?アタシ寝ちゃってたわ」


「お母さん、呑み過ぎ」

「予定は分かってるんだから、少しはセーブしないと?」

「それは無理!お酒はね、呑むモノじゃ無い!呑まれてナンボよ!!」


「なに、爽やかな顔をして言い切ってんだよ、テメーは?子供達に悪いと思って無えだろ」

 アシュタローテが呆れて小言を言う


「ごめんね二人とも、代われるモノならアタシが出てあげたいけど……」

 流石に聖教会の祝福の儀を、元魔王の堕天使アシュタローテが行う訳にはいかない


 バラキエラがアシュタローテに抱き付く

「お母さん♡」

 

 ラムエラはミカエルの元へ走り寄ると、頬にキスをして、それからミカエラの手を取り、自分から抱き抱えられる様に回した


「いっぱい頑張ったよ?」

「アリガト♡」

 ミカエラはラムエラを抱き寄せると、頬にキスをする


「お昼から大司教の所へ挨拶に行くけど、貴女達も来る?」


「先生には会いたいけど……」

「教皇聖下は、ちょっと……」

 二人とも、歯切れの悪い返事だ


 ミレニアムは、ラムエラとバラキエラのどちらかを養子にしたいと、当人達にも話をしてしまった為に、苦手意識を持って居た


「聖下の養女に成れば、毎日ご馳走食べ放題よ?」


「デュオ母さんと、アギー母さんのご飯が一番良いよ!」

「家族で食べるご飯が、一番美味しいよね!」


「あら、嬉しい事言ってくれるわね♡」

「おまちどうさまなのですわ!」

「ですわ!」

 デュアルコアがワゴンに昼食を乗せて運ぶのを、セレロンの娘ライゼンとデュオの娘ヘクサが手伝って(?)いる


 ヨルムンガンデの言った通り、ミカエラの愛と神気をたっぷり受けて処女受胎した子供達は、僅か二月程で四歳児くらいにまで一気に成長していた


「待ってました♡」

「今日のお昼ご飯は何?」


「ほうれん草と茸を使ったお雑煮よ」

「やったあ!私、お餅二つ!」

「あっ、私も!」

 ラムエラもバラキエラも餅の入った雑煮は大好物だ


 今は亡き東方支部教会担当の巡業聖女だったラファエラが、故郷の味覚として聖都へ持ち込んだ「餅」は、保存性の高さと腹持ちの良さから聖都でも受け入れられ、正月の定番料理として雑煮は欠かせない存在と成って久しい


 熱々の出し汁の中に、こんがりと焼き色の付いた香ばしい焼き餅を入れた椀が、皆に振る舞われた


「ああー、良い香り♪やっぱり正月と言えばお雑煮よね♡」

 食事の支度が整った処へ、いきなりルシフェラが現れた


「私の分も頂けるかしら?」

「お餅は沢山有るから、大丈夫ですよ」


 アガリアが笑顔で厨房へ、焼きたてのお餅を取りに行くと、娘のグーシアがトテトテと付いて行く

 厨房ではヴォルカノとイフリースが、それぞれの竈の火の番をして、ツマツヒメがお代わりの分の餅を焼き続けていた


「何よルーシー、正月早々魔界を放り出して大丈夫なの?」


「あ~大丈夫、ダイジョブ!

 あっちじゃ、お雑煮を食べる習慣が無いから、どうしてもコッチへ来ないとね♡」


「ね♡じゃ無えだろ、昨日も蕎麦食いに来てたじゃない」

 ミカエラの心配に、責任感の欠片も感じさせない返事をするルシフェラに、アシュタローテが呆れて突っ込む


 魔界の統治者、明けの明星ルシフェラは、ほぼ毎日ミカエラの家で食事をしている


 家族が増えて、手狭に成ったからと、指パッチンで寝室、子供部屋、リビング、ダイニング、厨房も一気に三倍にまで広く拡張された


 亜空間拡張と言うらしく、外側の大きさは変わらないのに、内部の空間は拡がっている


 さらには、聖教会本部大聖堂に繋がる秘密の亜空間通路まで開通して、何時でもペンティアムに会いに行ける様に成っていた


「何だ、またルシフェラが来てるのか」


 とどめにペンティアムまで現れた


 


 


 


 


 


 

 


 


 

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