第74話 太陽のSEASON


勝手に神様認定されてしまったミカエラだが、アシュタローテに魔神呼ばわりされたのは、実は満更でも無かった


「元魔王に魔神扱いされるなんて、何かカッコ良くない?」


「流石は私のミカエラ、生きたまま神に至るなんて普通は出来ないわ!あっ、鼻血が……♡」

 アガリアは謎のテンションで舞い上がる


「いや、聖女が魔神て……どうなの?」

 サリエラは余りの展開に付いて行けない


「ミカエラ様は産まれた時から、ずっと神に支えてこられたのですから、きっと神様がその信仰心にお応え下さったのですね!」

 デュアルコアはまた、訳の分からない理屈を展開し始めた

 おそらく本人も、何を言ってるのか分かっていない


「いや、まあ神様は実在するしね?

 でも、私がこんな常識はずれな存在と同一レベルってのは勘弁して欲しいわ」

 ミカエラは、ヨルムンガンデの首を指さして言う


「一番、常識はずれなのは自分であろ?

 何処の世界に、神とステゴロ出来る人間が居ると言うつもりかえ?勇者じゃあるまいし」


「は?糞勇者なら昔、ブッ殺してヤッたわよ?」

「なんと!やはり魔神の器であったか……」


「イクス、貴方は神様の子供なんだってさ、良かったね?」

「まあま♡」

 クレセントはやっと産まれた我が子が可愛いくて仕方ない


 ヨルムンガンデは、イクリプスを竜眼で見極めると、この幼子もまた、神気の持ち主である事に気付く

「どれ、妾からも龍の眷属へ祝福を授けて進ぜようかの」


 そう言うと、ヨルムンガンデはイクリプスの眼をじっと見詰め、何やら聞き慣れない言語で語り出した


「何を言ってるのか分からないんだけど?」

「神代龍語よ、オルデア様やケイオス様達が会話なされる時に使われて居たわ」

 サリエラの疑問にクレセントが答える


「精霊龍オルデアの子よ、お主の子も生まれながらに神気を宿し、やがては神へと至る素養を有して居る、どうするかは、この子次第じゃが、進むべき道を過たずに済む様に、「竜眼」を授けたのじゃ」

 ヨルムンガンデはイクリプスに真理を見透す眼を与えたらしい


「あ、ありがと……う?」

「何故疑問系なのじゃ!龍の頂点たる妾の祝福であるぞよ、もっとありがたがるのじゃ!」


「自分で頂点とか言っちゃってるよコイツ、恥ずかしい奴……」


「なっ、神たる妾に向かって無礼であるぞ?」


「だって、私も神様なんでしょ?だったら無礼もへったくれも無いじゃん?」


「ぐぬぬ……!」

 ミカエラの屁理屈に威厳も何も意味をなさない


「ええい!年長者を敬わんか!

 我、こう見えて世界開闢の頃より存在するのじゃぞ?」


「別に歳とってりゃ偉い訳でも無いだろ?

 実際、私に負けてんじゃん」


「おのれ、完全体で無いのが悔やまれる……」


「リターンマッチか?受けて立つわよ!」

 

 イクスはそんなミカエラをじっと見詰めると、

「ママ、ケンカしちゃダメ」

 と言った


「へっ?今のイクス?私の事ママって呼んだ?」


「あら、偉いわねぇイクス?お利口さん♡」

「まあま♡」

 クレセントが褒めると、べったり甘えるイクス


「喋ったわ、この子」

「今日、産まれたばかりよね?」

 アシュタローテとサリエラが驚いていると


「竜眼を授けたからの、伝えるべき言葉くらい理解出来るであろ」


「なんか、クレスとアタシで対応に差が有る気がするわ」


「カッカッカッ!お主の本質を見抜いて居るのじゃ!聡い子じゃの」


「ねえ、お母さんお腹空いた~」

「私も~!」

 ラムエラとバラキエラのお腹の虫がグウウ~と鳴く


「あら、ご免なさい!すぐに支度するわ!

 アギー、ツマちゃん手伝って?」

 デュアルコアがアガリアとツマツヒメと一緒に厨房へ向かう


「デュオったら、ツマっちの事をツマちゃんて呼んでんだ」

「ツマっちはどうかと思うけど、仲は良いわよ」

 クレセントが答える

 

 

 


 

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