第72話 PARADISE TRAIN
大聖堂の地下霊安室で、ウッソを切り刻む拷問が夜通し繰り返されている頃、クレセントはミカエラの下で、全身で愛を確かめ合っていた
「ん、んむ……んん!」
口付けを交わし、互いの舌を絡め合わせる
それだけで、クレセントは幸せで胸が一杯になる
ミカエラがクレセントの小さな身体を抱き、手を繋いだり、時には足の指先まで愛してくれるが、クレセントはもう、抱き返す体力も残っていなかった
ピクンピクンと全身を痙攣させながら、朦朧とした意識でミカエラの愛を感じている
「ミカエラ……大好き♡」
荒い息の中、途切れながら呟く言葉にミカエラが返す
「私もよ、クレス愛してるわ」
そう言いながら、クレセントの両足を開かせると、お腹にキスをしてから大事な部分へと舌を這わせる
「はっ、ああん!ダメ、もうダメぇ?」
息も絶え絶えに叫ぶと、ギュッとシーツを掴んで、エビ反りで硬直するクレセント
チュポンッ
「……え?」
「はぁはぁはぁ……♡」
クレセントがイキんだ瞬間、大事な所から黄金の卵が飛び出した
「は?え?卵?……この間の?」
「はぁはぁ、私の赤ちゃん……」
「こんな所で温めてたの?」
パリッ!パキペキ……
「んっ!?ナニ?」
黄金の卵の表面がひび割れたと思うと、中から目映い金色の光が溢れ出した
「何よコレ?」
「私の赤ちゃん!?」
光が収まると、小指の先程の小さな小さな金色のドラゴンがそこに居た
「ぴいぃ!」
チビドラゴンはミカエラとクレセントの顔を交互に見ると、ヨチヨチとクレセントの方へ這って来る
「……う、産まれちゃった?産まれた!私の赤ちゃん!?」
クレセントがチビドラゴンを掬い上げると、大切そうに胸に抱く
「えーー!卵、産んだばかりよね?」
ミカエラは驚くが、実はミカエラが一晩中クレセントだけをを愛し続けた事で、孵化に必要な魔力と神気が充たされていたのだ
卵を孵化させるのに必要なのは、人肌の暖かさもそうだが、愛情が何よりも大切なのだった
「クレス!おめでとーーーっ!」
ミカエラはクレセントを抱き締め、祝福の言葉をかける
すると、チビドラゴンは指先の大きさから人の頭くらいの大きさに変化した
「おっきくなっちゃった!?」
「どうなってるの?」
本人に自覚は無いが、ご近所からの圧倒的な信仰心のお陰で、ミカエラの神格はかなり上がっていた
そのせいで、ミカエラが祝福すると、神の祝福と同様に奇跡を起こす事があるのだ
成長したチビドラゴンは二本足で立ち上がると、再び黄金に光り輝いた
「今度はナニ?」
「……え?ええ!?」
光が収まると、そこには金髪で青い瞳の三歳くらいの幼児が居た
「……まあま?」
トテトテとクレセントに歩み寄ると抱き付いてくる
「まあま♡」
クレセントにしがみつくと、スリスリしている
「可愛いーーーっっ!!ナニこの可愛いの♡」
徹夜明けにも関わらず、ミカエラはテンション爆上がりだ
「……イクリプス」
「まあま♡」
「え?何て言ったの?」
「この子の名前、前から考えてたの」
「そっか、ヨロシクね、イクス♡」
ミカエラは早速、勝手にアダ名で呼んでいる
「やあーあ」
「ん?」
イクスはプイッとミカから顔を背けると、クレセントの胸元にくっついて来る
「あれ?何で?」
「クスッ、嫌われちゃったわね、ミカエラ?」
クルッとミカエラの方を振り返ると、ポッと火を吐いた
「あはっ♡生意気にブレスの真似事してる♪」
イクスはスゥーと息を吸うと、ミカエラ目掛けて小さな黄金のブレスを吐いた
バウウーーッ!
「わあっ!?」
モロに顔にブレスを食らったミカエラだが、ミカエラの魔力の方が遥かに強い為、無効化してしまう
「……ちゃんと躾が必要だわね」
「止めて!まだ産まれたばかりなのよ?」
クレセントはイクスを愛おしく抱きしめる
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