第69話 さよならはもう二度と
「んっ、んう~んん!」
クレセントは部屋に戻ると、早速服を脱ぎ捨てて、「胎内」へ卵を戻そうとしていた
如何に、小さな可愛らしい卵とは言え、生殖器に無理矢理押し込むのは痛過ぎる
何しろ、ミカエラの妻達は、全員が処女受胎である
普段から、ミカエラ達と交わり続けて、指や舌による愛撫に慣れていたとしても、やはりある程度「濡らして」おかないと、スムーズには入らない
とは言え、どちらかと言うと受け身なクレセントは、自慰の経験も少なく、中々思う様にいかなかった
例えばミカエラに濃厚なキスでもされれば、簡単に潤ってしまうのだが、それはそれで本来の目的から逸脱してしまうのが目に見える
何より、大好きなミカエラに、自分の生殖器の中に卵を挿れてもらうなんて、恥ずかし過ぎる
想像しただけで、茹でダコの様に真っ赤にのぼせたクレセントは、ブンブンと頭を振って水桶の水で顔を洗い頭を冷やすと、ベッドに戻り卵を手にとる
「ごめんね。頼りないお母さんで……」
意を決して、改めて卵をあてがうと、思いきって押し込んでみた
すると、ミカエラの事を想像したお陰か、今度はヌルッと中へと挿っていった
「あんっ!は、挿った?」
異物感が半端無いが、思ったより痛くは無い
いつものピチピチのショートパンツを履けば、何かの拍子に落としてしまう心配も無くなる
クレセントはセレロンよりも人間に似た姿をしている
人間の様に食事も採るが、魔力として消費される為、排泄の必要が無く、排泄器官は存在しないが、何故か生殖器は在った
卵生のドラゴンに子宮は無いが、そもそも卵を暖める為に有るのかも知れない
気を取り直して、ヨルムンガンデに礼を言おうと歩き出したクレセントは、いきなり腰がくだけて蹲る
「!!……あ、歩けにゃい?」
歩き出したとたんに、胎内で卵が感じられ、異常に疼いてしまうのだ
中がキュンキュンと蠢き、卵の存在感を強調して来る
ミカエラに散々開発されたせいで、快感が全身を襲い、頭が真っ白になる
「や、ヤバい……」
なんとかベッドへたどり着くと、クレセントは意識を手放した
翌朝、夕食すら食べに来なかったクレセントの様子が気になったデュアルコアは、クレセントの私室のドアをノックする
「クレス、寝てるの?大丈夫?」
返事は無い
「開けるわよ……?」
遠慮がちに扉を開け、中を覗くとベッドに寝転がったまま、頭からシーツを被ったクレセントが目に入る
「どうしたの、大丈夫?」
デュアルコアは持参した朝食のお盆をテーブルに載せると、シーツをめくりクレセントのおでこに手を当てる
熱い
「熱があるわね!風邪でもひいたのかしら?
後でお薬持って来るわね」
「要らないから!放っておいて!」
クレセントの顔は真っ赤に上気し、汗だくだ
心なしか息遣いも荒い
「身体も拭かないと、熱下がらないわよ?」
「……良い、自分でヤるから」
「そ、そう?」
デュアルコアは心配ながらも、一度部屋を出て、皆に報告に向かう
「え、クレスが風邪?」
「せっかく卵を産んだばかりなのに……無理したのかしら?」
「ドラゴンの癖に、風邪などひくとは軟弱なのじゃ」
考えてみれば、不老不死のムーンドラゴンが病気にかかるのは変だ
結局、屋敷に居た全員でクレセントの様子を窺いに訪れる
「クレス、大丈夫?」
ミカエラが扉をノックするが、返事は無い
扉を開けようとするが、今度は中から鍵がかけられていた
様子がおかしいので、皆が扉に耳を当てて、中の様子を窺おうとする
「ーーーー、ーーーー!」
かすかに、呻き声の様な音が聞こえる
「苦しんでるのかしら?ちょっと大丈夫なの!?クレス?開けなさいよ!」
「様子を見て来るわ」
アガリアが部屋の中へと転移した
ベッドの上で、シーツにくるまったクレセントが、喘ぎ声を押し殺しながら、悶えて居た
「あっ、あんっ……んんっ!♡」
「何ヤッてんの、アンタ?」
いきなり声を掛けられて、驚くクレセント
「ひゃあっ!?な、何よアギー?何処から入ったの?」
「扉の向こうから転移したに決まってるでしよ?アンタこそ、皆に心配かけてナニしてるのよ?」
アラレもない姿を見られて気恥ずかしいクレセントは、シーツを手繰り寄せると頭から被る
「卵……を暖めてただけよ」
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