第54話 あなたを・もっと・知りたくて

ドサッ、コロコロコロ……

「えっ?嘘じゃろ!」


 ヨルムンガンデの首が地面に転がり、ミカエラにドカッと踏みつけられる


「ぶ、無礼者ーーー!その足をどけんかコラ!」


「あら、まだ死んで無えんでやんの?

 じゃあまあ、折角だしトドメ刺しとくかぁ」

 ミカエラが光の刃でヨルムンガンデの首を貫こうと構える


「ヤメヤメヤメ止めんか!死んでしまう!?」

「うるせえな、喧嘩売って負けたんだから、景気良く死んどけや!」

「眼がマジ?眼がマジじゃから!

 止めて、助けて?御願いするのじゃ!」


 首だけになって、みっともなく命乞いを始めたヨルムンガンデ


「テメーは問答無用で二人も殺してんだろーが!て言うか、のじゃのじゃ煩え!」


 頭に来たミカエラは、サッカーボールの様にヨルムンガンデの頭を蹴り飛ばす

 ドカッ!


「あれえーーーーー?」

 ぽすっ

「クレス、ナイスキャッチ♡」

 それを見たセレロンとサリエラが走り出す


「へい!パース♪」

 クレセントがサリエラへ投げて寄越す


「ん、頂戴サリー♡」

 サリエラがセレロンへパスすると、セレロンは思い切り蹴り飛ばした

 ドゴオッッ!

「ホゲエッ?」


 ぎゅーーーーん、パシッ!

 ミカエラがキャッチする


「神の頭で遊ぶで無いわ、この罰当たりが!」

「んじゃ、次は聖剣でスイカ割りだな」

「スミマセン、ご免なさい調子に乗りました!」

 頭を下げようにも、身体が無い為にムズムズ動いてる様にしか見えないが、プライドをかなぐり捨てて必死に謝ってる感は伝わる


「ふえええーーーーーん!嫌なのじゃあ!死にたく無いのじゃーーーーー!」


 とうとう人目も憚らず泣き出してしまう


「て言うか、誰なんだコイツ?」


炎神闘エンシェントドラゴンのヨルムンガンデ様よ

 世界を支える古代神龍と云われてるわ」

 アガリアが若干怯えながら教えてくれる


 魔界出身の彼女にとっては、畏怖すべき存在なのだろうが、今は首だけなのでなんとも情けない姿である


「神?コレが?こんな弱ええのが?ウッソだぁ」

 バッサリと否定するミカエラ


「嘘では無い!妾、本当に神なのじゃ!

 崇めるのじゃ!」

「反省して無えよ、やっぱり殺そう」

 ミカエラはヨルムンガンデの頭を逆さにして、バスケットボールの様に指先でクルクル回し出した


「あああーーーーーーー眼が回るのじゃ?止めんか!お願い、止めて欲しいのじゃーーーー」

「神の威厳なんざ、コレっぽっちも感じ無えけど?そもそも弱過ぎるだろ」


「き、貴様が強過ぎるのじゃ!

 何じゃ、あの光の刃は!反則なのじゃ!」


「太陽の熱エネルギーを飛ばすのは、オバサンの魔法?」

 ミラクラがヨルムンガンデの頭に問いかける


「む?小童の癖に妾の攻撃を、見抜いたのかえ?凄いなお主、その賢さに免じて教えて進ぜよう!アレは妾の、神の権能であるぞ?凄かろ?」


「太陽を消すのは難しいけど、熱エネルギーを凍結して無効化させる事は出来るよ?

 絶対零度まで下げると、原子核も運動エネルギーを維持出来なくなって、凍結しちゃうよね」


 物理学の法則を解説されても、この場の誰も理解出来ない


「……えーと、誰か妾に分かる様に説明してたもれ?」

「安心なさい、誰にも理解出来立て無いから、

 この子達は天才なのよ」

 アガリアが纏める

 

 

 


 

 

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る