第53話 チャンスは一度
ヨルムンガンデに向けて、閃光を打ち返したら、岩場は大爆発を起こし、ドロドロに溶解してクレーターにマグマが溜まっていた
あろうことか、ヨルムンガンデはドロドロに溶けたマグマの中で、平気な顔で立っている
打ち返された閃光にも当たった筈だが、怪我一つ無い様子だ
と、すれば、目の前のヨルムンガンデは霊体で、あの閃光は物理攻撃だったと言う事になる
(ラムエラ、気付いてる?)
(うん、あの閃光は太陽の熱エネルギーその物だね)
(だったら私達にも出来そう)
(でも、アイツには効かないみたい)
(熱エネルギーを根刮ぎ奪っちゃえ無いかな?)
(元が太陽じゃ無理っぽい、それよりエネルギーの転送を邪魔出来ないかな?アイツの使う次元経路を、別の所へ繋ぐとか?)
(ラムエラ出来そう?)
(今はお母さんの邪魔したら、きっと怒られる
イザッて時の為に準備だけしておこう!)
(分かった!)
と、言いながら、太陽の熱エネルギーについても考えを止めないラムエラ
勿論、必死で戦っている最中のミカエラに、そんな事に気付く余裕は無い
(厄介な閃光攻撃には対抗出来たとしても、奴自身に光の刃が通用するかしらね?)
(ミカエラ、迷っちゃ駄目よ、聖剣を信じなさい!)
(そうですよ、ラファエラ様も言ってたじゃないですか!)
アシュタローテとミカエルが頭の中で喋ると、果てしない快感に囚われ失神しそうになる
(あぁ~んん♡、ちょ、ちょっと黙ってて?)
正直、快感が凄過ぎて、二人が何を言ってるのか理解出来ずにいる
それは、憑依合体している二人も同じで、ミカエラが得た快感は何倍にもなって、互いに襲いかかる事になる
結婚後九年経っても、夜の営みが止められない秘密がそこに有る
「ハアッハアッ……」
「くははは、息が上がっておるのう、熱線を打ち返された時は驚いたが、所詮は人間……
そこまでが、限界よの?」
実は、押し寄せる快感に肉体が反応してるだけなのだが、経験の無いヨルムンガンデには分からない
全身がビクンビクンと痙攣し、息が荒くなっている様子は、いかにも「虫の息」の様にも見え、ヨルムンガンデは油断しきっていた
もしも、この時に竜眼を使っていれば、ミカエラがエクスタシー寸前の、非常に危険な状態であると見抜けただろう
「人間にしては、良くやったと褒めてやるのじゃ、ひと思いに楽にしてやるから、ありがたく思うのじゃ」
膝を着き、こちらを睨みながらも、肩で息をするミカエラに近付くと、ヨルムンガンデは炎の魔剣レーヴァテインを呼び出し、ミカエラの首筋目掛けて振りかぶる
ギャリンッッ!
片膝着いた姿勢から、伸び上がり逆袈裟に斬り上げた光の刃は、レーヴァテインを握るヨルムンガンデの右腕を肩の付け根から斬り飛ばす
「ぬあっ!何と!?」
「アタシの得意分野に持ち込んでくれて、礼を言うぜ!有り難うよ!」
魔力で出来た右腕は、光の刃に吸収され消え去るが、魔剣レーヴァテインだけは、物質なのか消えずに残ったまま大地に落ちた
ヨルムンガンデは左手の指先から閃光を発射するが、動きを読んでいたミカエラは光の刃で攻撃を吸収してしまう
「ええい、何じゃそれは!?」
ヨルムンガンデはレーヴァテインを拾おうと左手を伸ばすが、ミカエラはその左腕も斬り落とす
「舐めるな!小娘!!」
ヨルムンガンデは口から熱線のブレスを吐こうと、ミカエラを正面に見据える
ミカエラは、躊躇う事無く、ヨルムンガンデの首を跳ねる
ドサッ、コロコロコロ……
「えっ?嘘じゃろっ!」
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