第24話 ヴォルカノのプライド
「姉さんの男気に惚れましたーーーっ!
是非舎弟にしてください!!」
黒炎竜のヴォルカノが、ミラクラの前に土下座する
「ああん?」
「……」
「うんん?貴様、ヴォルカノでは無いか、報告もせずに何をヤッてる?」
ミラクラ、アシュタローテ、ハーディと三者三様の反応だが、肝心のミラクラは
「何だ?テメエ、
トカゲごときに用は無え、死にたく無けりゃ引っ込んでろ」
「いーやっ!退かねえ!
不肖ヴォルカノ、アンタを漢と見込んで、命を賭けて頼んでるんだ!」
「残念だったな!俺はオンナだ」
「だから「姉御」って言ってるじゃ無えか!
ええい、面倒臭え!姉御!
コイツ等は俺に任せてください!」
ヴォルカノはミラクラ達の前に立つと、冥王軍に向けて啖呵を切る
「オウオウオウオウ!
遠くに居る奴ぁ音にも聞け!近くに寄らば目にも見よ!俺様こそは地獄極楽丸ミラクラ様の一の子分、あ、黒炎竜ヴォルカノ様でぇ!!」
ゲシッ!とヴォルカノの後頭部に蹴りが入る
「勝手に子分を名乗るんじゃ無えよ、
邪魔するならブッ殺すぞトカゲ!?」
「そこの炎竜二人は私の下僕だけど、役に立たないから殺しちゃって構わないわよ?」
アシュタローテが無情に言い切る
「そ、そんなぁ姉御~?」
涙眼で黄昏るヴォルカノだった
(なんか、ちょっと可哀想あのお姉さん)
(だよね、話しくらい聞いてあげても良いのに)
ラムエラとバラキエラは、ミラクラの身体を思う様に動かせないか試してみる
「どいつもこいつも面倒臭えなぁ!
まとめて吹き飛ばしてやろうか……」
スウウーーーッと息を吸い、ブレスを吐こうとするミラクラ
(駄目ーーーーっ!)
バラキエラが明確な拒絶を示すと、ミラクラの動きが止まった
「な……に?」
(簡単に他人を殺しちゃ駄目!何やってんの?)
(そうだよ!この身体は私達に返して貰うよ!)
「こら、俺様の意思を無視して勝手に動こうとするんじゃ無え、この糞ガキ共!」
「「なにおーーーっ?この身体は私達の物だーーーーっ!」」
とうとう、ラムエラとバラキエラの声がハモって聞こえる
「あーーーーーーっ、もう面倒臭え!
全部纏めてブッ飛ばしてヤるぜ!!」
ミラクラが周囲の魔力もかき集めて、超強力に凝縮し始めた
大密林の木々が魔力を吸われ、みるみる枯れ果て砂漠へと変貌して行く
こんなモノを無制限に解放したら、それこそ地獄は更地に成ってしまいかねない
まさしく、神にも匹敵する強さである
「大佐!?」
「総員、待避!!くそっ、間に合わんか?」
「ちょっとアーシュ、何とかしなさいよ!」
アシュタローテは腕組みしたまま動かない
「「させるもんかあーーーーーーーっっ!!」」
子供達が心を一つにして、必死にミラクラの暴挙を止めようとすると、奇跡が起きる
まさしく、ペンティアムが言った通り、聖剣を信じ、互いの心を一つにしたお陰で、凶悪なミラクラの自我を抑え込んだのである
しかし、既にミラクラが凝縮してしまった濃厚な魔力が手元に残ったままだ
そのままでは、暴発して大惨事に為りかねない
「ラムエラ!バラキエラ!ミラクラが集めた魔力を何かの形で解放しなさい!」
アシュタローテが子供達に指示するが、二人にもどうすれば良いか分からない
下手に放り投げたりしたら、それこそ核爆発では済まなくなる
「「えーーーと、どうすれば?取り敢えず、亜空間を作って、そこに放り込む?」」
二人はペンティアムに転位魔法を教わった時の事を思い出す
「「亜空間、亜空間……ヨシ!行くよ!
超・次・元・烈・空・斬!!」」
二人は奇しくも、母ミカエラが放ったのと同じ次元を切り裂く斬撃に魔力を乗せて、大空を切り裂いた
地獄の青空に、次元の切れ目が出現し、何処かの異世界の模様が垣間見える
「す、凄い……」「何だこれは?」
「あり得ない……」
ハーディ、ヴォルカノ、イフリースは目の前の現実が信じられなかった
ラムエラとバラキエラは亜空間の中へ魔力を放り込むと、今度は裂け目を閉じる
「「閉じろ!」」
二人が念じると、木刀に吸い込まれる様に、次元の裂け目は消滅した
亜空間が、何処の世界と繋がって居たのか不明だが、放り込まれた先で解放された魔力は、そこで超新星爆発に匹敵するエネルギーを解放したかも知れないし、もしかすると、異世界ごと木刀に吸収されたのかも知れない
「……何と言う理不尽な存在なのだ……」
ハーディは言葉が続かない
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