第47話 序章にすぎない
「ダメね」
赤と黒の髪を櫛でときながら、ポツリと言った。
暗い部屋。
光は、ステンドグラスから差し込む太陽光のみだ。
綺麗に赤と黒で分けられた髪も、この暗さの中では、それほど目立っていない。
「はぁ、また補充しないと」
円卓の真正面に座る、金髪の男に一瞥して、またポツリとつぶやいた。
髪をとく櫛の速度を速める。
その声に、男はやっと反応した。
ほんの少しだけイラついた声で。
「だが、いつぶりだ? フラム。」
「そうねぇ、いちいち覚えてないわ。ただ、久しぶりとだけ。」
フラムが発する艶かしい声に変動はない。
いつも通りだ。
「―――駒のことはどうでも良い。」
2人のやり取りを静観していた、円卓の中心に座る男が口を開いた。
一言一言が重い。
その言葉を聞いて、2人は姿勢を正した。
「――光の使徒、リュミエールが死んだ。」
しばしの沈黙が流れる。
部屋の空気は、パンパンに膨らませた風船のように張り詰めていた。
誰も何も言えない。
言葉が見つからなかったのだ。
なぜなら、
「昨日の夜中に、私の
「リュミエールって、あんたのお気に入りじゃなかったっけ? ゼトワール」
フラムは櫛をしまい、腕組みをして、真正面に座る男に言った。
それに対し、ゼトワールはムッとする。
「は、お気に入り? 冗談じゃない。あんな雑魚知らないね。」
優しい声とは違い、荒い口調で言い捨てた。
「大体リュミエールは、今回の初任務の成果次第で正式に使徒にするって話だっただろ。都合いい頭してんじゃねえぞ?」
「フン。私は、使徒には相応しいかどうかを見極めるために、養成機関を設立したり、
「あ? テメェここで殺してやろうか?」
「――ヤメロ」
再び、声に凍りつく。
2人は表に出していた殺意を一気に消し去る。
「ロワ様。今回の敵、”オーブ”とやらは、やはり......」
「分かっている。リュミエールは
ロワは、長い帽子を頭から外し、手に取った。
いつもはぴっちりと整えられた白髪が、少し波立って見えた。
「やはり、”オーブ”というのは、あの男の一族で間違いない.....ということでしょうか.....」
「アァ、死んでなお、我々の邪魔をする。」
長い帽子を握っていた手に力が入る。
――パンっ
ロワは、帽子を握りつぶした。
帽子を握りつぶす音ではない。何かが破裂する音が響いた。
「絶対に許さんゾ....。ジャンティ・フォン・グランの
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