第5話 試験2
「大丈夫か!」
そう問いかけると二人はすこし震えて首を横に振った。
「大丈夫じゃないです」
「俺もだ」
二人は壁に寄りかかり放心状態だったが落ち着いてきたのか
何か言いたそうにしていた。
「さっきはありがとうございました!」
「俺からも本当にありがとう!あの時助けがなければゾンビになってたよ」
「縁起でもないこと言わないで!」
そう言って女子が男子の頭を杖で何度もつつく。
「そういえば、恩人の名前聞いてなかったね、何て名前なの?」
「ああ、僕の名前はセント」
「私の名前はリフィアです」
「セント君にリフィアちゃんね覚えたよ、ちなみに、私の名前はクルーノだよ。
よろしくね!」
そういうとやたらと距離が近いクルーのはなぜかリフィアの手を握る。
「なんでしょうか?クルーノさん」
リフィアがどうしていいかわからずおどおどしているとクルーノはもう一人の男子生徒によってリフィアからはがされた。
「ごめんなうちのクルーノが、これでも抑えてるほうなんだ」
「抑えてるってなんだよ!これが普通だよ、キイサ」
またしても、言い合いになってしまった二人をどうすればいいのかもわからずただ見てた。
「あ~ごめんな、熱くなるとすぐこれだから、自己紹介がまだだったね
僕の名前はキイサ・リグレット キイサって呼んでくれ」
僕はクルーノとキイサに気になっていたなんで囲まれていたのかを聞いた。
「それは、ここの壁は三つの隠し扉になっていて、間違えた扉を開くとさっきみたいなことが起こる」
「なるほど、さっき間違えてたから残る扉を開ければいいんじゃないのか?」
「それはそうともいかないんだよな」
そうキイサはため息交じりに杖を壁に向けた。
「アーペ」《姿を見せよ》
そう唱えると壁の一部が赤く染まった。
「この色がついているのが隠し扉だ、数えてみろ」
数えてみると開いていない扉は全部で三つ、要するにあてずっぽうではクリアは難しいということだ。
「なら、ヒントがどこかにあるんじゃないのか?」
「いや、私たちも探したんだけど、どうしても見つからなくて、テキトウに開けたらあんな風に」
しかし、ヒントがないあてずっぽうのギミックなんてあるだろうか?
どこかにヒントがあるはずだが。
柱の模様などを見ても全く分からなかった。
するとリフィアが耳元でこそっと耳打ちをしてきた。
「あの、これは私が人魚という魔物の力も入っているからわかるのですが右端の扉だけ魔力濃度がほかのほかの扉よりも低いので多分正解だと思うのですが」
それを聞いて僕はリフィアが言っていた右端の扉の前に立った。
「あの、個々の扉開けるけどいいかな」
「私たちはいいけど、違った場合私たちは力にはなれないからね」
「まあ、大丈夫だとおもうよ」
そう言って扉を開けた。
すると扉の先には次の階へとつながる階段が現れた。
「おお、なんでわかったんだ?」
目を輝かせてキイサが聞いてきた。
「そこはちょっと魔力の量を見たんだって」
「へーリフィアってそんな魔法も使えるんだな~」
「まあとにかく先に進もう」
階段を上がった先には結構広い空間とその奥には今まで見た中で一番豪華な扉がみえた。
「あそこが宝物殿か案外簡単だったね」
二人が進んでいると、
「キイサさんクルーノさん下がってください!」
すると上からすごい轟音と土煙とともに巨大なゴーレムが降ってきた。
「これが宝物殿を守る番人かなんとかヘイトだけでも買ってやる」
「リフィア支援を頼む」
「わかりました」
ゴーレムは近くによって言ったキイサめがけて巨大な腕を振り下ろした。
キイサは身軽にそれをよけ杖を向ける。
「リーフストーム」《草の嵐》
ゴーレムの目をめがけて隠れるように技を放ったが一瞬で払われる。
「さすがに目隠し程度じゃ無理か」
「皆さんに支援を ピーファ」《力の恩恵》
僕はキイサがヘイトを買ってくれたおかげで後ろに回り込めた。
「グレトスターレ!」《中光線》
杖の先の魔方陣から放たれる太い光線がゴーレムに当たり爆発音がしてゴーレムがよろけるがすぐに持ちこたえられてしまった。
「まじか、結構強力な魔法だったのに」
強烈な魔法を食らってもよろける程度のゴーレムに突破口を見いだせないでいた。
「キイサ!もう一度ヘイトを買ってくれない?」
「クルーノ!まあ、いいけどっ!」
そうしてもう一度目隠しをしてヘイトを買っているうちにクルータは足元に潜り込み
「食らえ私の一撃を!ロックブレイカー《岩砕き》
すると足元の岩の鎧がはがれもろそうな植物の体が出てきた。
「でかした!クルーノ」
「グレトスターレ!」《中光線》
ゴーレムの足に打ち込むとすぐにばたんと前に倒れてきた。
しかし、急所はとらえられていないようでまだ起き上がろうと腕で体を起こす。
「その鎧を剝がしてやる! ロックブレイカー!」
ゴーレムの下に潜り込んで胸に大きな岩の塊がぶつけられ今度は背中のほうに倒れる。
「今だぞ!セント!」
「リフィア追撃の準備を!」
「はい!」
僕が合図を送るとすぐに呪文を唱え始めるのが見えた。
僕は腕から体の上に飛び上がり完全に鎧の穴が見える位置に着く。
「最大火力! ウェントブラスター」《風神の怒り》
「水よ答えて! オセル!」《襲い掛かる水の精》
先にリフィアの魔法があたりコアであろう装甲を剥がした。
そこにセントの魔法がゴーレムを突き抜けはじけた。
ゴーレムはバラバラになり黒くなって灰になってきえた。
「やったのか?」
キイサが土煙の中を探すがあの巨体はどこにもない。
「やっと、倒せたんだ」
「やったー!」
クルータがリフィアに抱き着く。
「クルータさん!?」
「ほら、これがクルーノの本性だぜ」
「そんなこと言わないで~!」
いつもの雰囲気が戻ったところで奥の扉がゴゴゴと開く音がした。
すると中には光る財宝があった。
「これで試験は合格でいいんだよね」
「その通りだ」
「うわっ!」
後ろを向くとそこには開始を宣言した教師が立っていた。
「しかし、君たち四人以外はここを突破できそうにないよって
この試験の合格者はセント、リフィア、キイサ、クルーノの四名とする!」
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