第4話 試験開始

そして一ヶ月が過ぎ、ついに試験の日が訪れた。

会場に向かうと、予想以上に人が集まっていた。

会場が山の中にある遺跡のため人が少ないと思ったが結構集まっていた。

「結構多いな、もう少し少ないと思っていたが」

「でも、これだけすごい人が集まっているんですよね、なんか緊張してきました」

そう言っていると、カンッという音とともに騒いでいた人の声が一気に静かになった。

音がした方向を見ると、学校の教師であろう人が立っていた。

「ここに集まった生徒になる権利を持つ者たちよ、今から試験を行う」

(なんか、すんごいカッコつけてるな)

「では、君たちにはこの目の前にある、

ダーシャ遺跡の最深部に向かってもらう」

(ダーシャ遺跡って聞いたことないな)

そんなこと考えていると、同じことを考えていたのかある生徒が

「ダーシャ遺跡なんて聞いたことないんですが」

「それは、この遺跡はこの間、うちの生徒が発見した遺跡だからな、君たちにはその探索をしてもらう、そして入学できるものは宝物殿にたどり着いた全てのものとする」

そう、教師が行った瞬間、会場が盛り上がった。

「では、始め!」

そう告げたとたん遺跡の中に十人くらいの生徒が入って行った。

「どうする、少し待つか?」

「ええ、収まってから行った方がいいかもしれません」

そう思い、僕らは数分後に遺跡の中に足を踏み入れた。

「プロンス」《光よ》

杖の先から光の玉が出て僕らの周りをふわふわと浮きながら照らしている。

「だいぶ明るくなったな」

明かりをつけないと進まないといけないくらい中は薄暗く気味が悪い。

近くにいる生徒も同じような感じで前へと進んでいた。

「宝物殿ってことだから奥のほうにあるはずだよな」

そう言っているとリフィアが下の階へと続くいている階段を見つけた。

「でかしたぞ」

僕らは奥に奥に進んでいるが一向に下の階へと続く階段が終わる気配がない。

「これ、あと何回繰り返すんだ?」

そう言っているうちにもう二、三回同じ道を進んでいる気がする。

「セント、私の勘になるんですけどさっきから同じ場所にきていませんか?」

確かに言われてみればそうかもしれない、何度も同じ曲がり角や同じ場所にある階段を下りているのかもしれない。

そう思い壁に模様をつけてもう一度階層を下りてみた。

すると、その模様がそっくりそのまま残っていたのだ。

「これで同じ場所を巡っていることが分かったな」

「なら、次はどうやって別の道を探すのかですね」

しかしいくら探してもどうやってもあの下へ降りる階段の場所に来てしまう。

さすがに歩き疲れて二人とも壁にもたれかかって座ってしまった。

「どうして同じ場所につくのでしょうか」

「わからない、ただ魔法が使われているのは確かなんだけどそれをどう解くのかがわからないんだ」

ほかの生徒も同じ場所を回っていることに気が付いたのか僕らと同じように壁に背をつけて座っていた。

遺跡の壁を見ながら考えていると天井と柱の間をうごめく影があることに気が付いた。

「もしかして!」

そう思い天井に近づいてみる。

「フレス」《浮かべ》

天井日数いてみると幻聴を見させるコウモリ型の魔獣ゲイザーが飛んでいた。

「なるほどね」

ゲイザーは幻聴を見せる魔物として

遺跡とかの侵入者を迷わせると聞いたことがある。

こいつが原因で間違いないだろう。

「スターレ!」《光線》

ゲイザーに向けて放つが素早い動きでよけられてしまう。

何度も打つが柱をうまく利用されて当たらない。

「リフィア!追撃の援護魔法をたのむ!」

下にいたリフィアも戦っていることに気が付き臨戦態勢をとっていたため反応が早かった。

「ライトペーシュ!」《追撃光線》

リフィアの魔法は惜しくもゲイザーには当たらなかったが逃げるのに精いっぱいなゲイザーにはセントが見えていなかった。

「スターレ!」

セントが放った光線が見事当たりゲイザーを倒した。

その瞬間視界がゆがみ、気が付くと二人とも倒れていた。

「リフィア!大丈夫か?」

「ええ、私は大丈夫ですが、周りが」

そう言われ周りを見回すと先ほどばてていた生徒や意気揚々と入っていった生徒が全員倒れている。

「つまり、今までの空間はゲイザーが生み出した仮想の空間だったと」

「よく気づきましたね、さすがセントです」

「いや、たまたまだよ、リフィアの一言がなければ出れなかったかもしれないしさ」

少し休んだ後、奥に進むと上へと続く階段が出てきた。

「今回はこれで合ってるはずだ」

しかし、また同じことになったら怖いので印をつけて先に進むが階段は現れなかった。

「今度は上へと続く階段がないのか」

「今度はどこにあるんでしょうか」

その時、同じ階層からキャーという叫び声が聞こえてきた。

「リフィア!向かうよ!」

「あっ!はい!」

急いで駆けつけると男女のペアが魔物に囲まれていた。

魔物の種類は見た限りゾンビだろうしかし数が多すぎる。

「二人とも伏せろ!」

そう叫ぶと声が届き、あたまを隠すように地面に倒れこむ」

「リフィアは水の攻撃、俺はゾンビを一か所に集める!」

「わかりました!」

リフィアは杖をゾンビのほうへ向け、目を閉じた。

その間にセントは壁を使いリフィアとゾンビを挟むような陣形をとる。

「僕の得意分野だぞ! フェライト!《集め巻き上げろ》」

セントの杖の先に魔法陣が浮かび上がり強風をゾンビの周りに巻き起こす。

ゾンビが風で巻き上げられ空中で一か所にまとまった。

「リフィア今だ!」

「貫いて!スピアリキッド!」《水の槍》

そう唱えるとリフィアの杖から強力な水流がでて槍の形となり

ゾンビの塊を貫き一網打尽にした。

これがリフィアの初めて使ったメイン攻撃魔法である。





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