第3話 目標は高く
魔法学校 マギナスウィリア校
この学校では数多くの有名な賢者や聖職者を排出している。
この学校の入学は特殊で月に一度転入試験が行われている、これは優秀な生徒を多く入学させるためと聞いたことがある。
しかし、その試験は普通の入学試験よりもレベルが高いらしい。
僕らはその月に一度行われる入学試験のための準備をしている。
今はリフィアの魔法の特訓をしていたが、覚えが早くもうすでに戦うことができる援護魔法などは使えるようになっていた。
「セント、入学試験まではあとどれくらいなんですか?」
「あと、二週間程度だな、でもこの調子でいけば大丈夫だと思うぞ」
実際、リフィアの魔法は初めて一ヶ月の出来栄えとは思えないくらい上達している。
「でも、入学試験は何を出されるかわからないから、あとは祈るしかないよ」
そういうともう一度練習してくるといい家の外へ出て行った。
実際、入学試験のことを聞くが、魔物討伐だったり迷宮探索だったりと様々なことが行われているらしい。
僕は攻撃魔法よりも日常に役に立ちそうな魔法ばかり使えるので攻撃魔法を今一度覚え直していた。
特にリフィアは攻撃支援や回復などの魔法を主に練習してもらっている。
戦いになるとどうしても2人で戦うより1人が戦いもう1人の方が援護する、という方式が普通で一番使い勝手がいいからだ。
リフィアにはたくさんの強みがあり人が使うとどうしても自分と相性の悪い属性魔法が出てくるがリフィアにはそれがない。
要するにいろんな属性魔法が満遍なく使えているのだ。
そこがの僕が考える中で一番の強みだろう。
さらに、回復に関しては水に関する魔法だからなのか中級魔法使いが出すくらいの回復ができている。
「よくよく考えると、すごいよな」
改めて、リフィアの才能に驚いていると
外できゃっと叫ぶリフィアの声が聞こえた。
急いで向かい声をかけた。
「リフィア!大丈夫か!」
裏庭の方に視線を向けると、少年がリフィアに何度も謝っている姿が見えた。
「リフィア?これは一体?」
「ああ、彼がクラブで飛ばしたフィン?(この世界で流行っているスポーツの玉)がうちの裏庭に入ってきてそれが私に当たってしまったわけです、幸い怪我はないので」
「本当に大丈夫なんですけど」
そう何度も伝えるが腰が低いのかなかなか、頭を上げてくれない。
その少年はまだ、頭を下げている。
「もう、頭を上げてください、大丈夫ですから」
そう、リフィアが何度も言うとやっと顔を上げてくれた。
彼の制服を見ると、僕らが入ろうとしている学校の制服だった。
「君はマギナスウィリア校の生徒かい?」
「はい、僕、一年のトレースといいます」
そのトレースという生徒はクラブの生徒でこの近くでグレリア(フィンという玉を魔法で奪い合いながら、ゴールに運ぶスポーツ)というスポーツをしていて、たまたま、外にまで飛んでいってしまったフィンが裏庭まで飛んでいきリフィアに当たってしまったようだ。
「では、これで」
そう言って、腰の低い彼はお辞儀をしながら裏庭を後にした。
「僕らもあの服を着れるといいな」
「そうですね、そのために頑張らないといけませんね」
「ああ、僕も頑張るよ」
そう言ってまた、リフィアとセントは魔法の練習を再開した。
「そういえば、セントはどうやってあんなにたくさんの魔法を覚えたんですか?」
僕はそう聞かれ、ある一冊の古びた本を渡した。
「これは?魔導書ですか?結構古いですね」
「これは俺の父さんから貰ったものなんだ、この中には使える戦闘魔法から、日常で使う魔法、いつ使うかわからない魔法が書かれているんだ」
リフィアはパラパラとページをめくって見ると確かに、セントが使っていた魔法が多く載っていた。
「すごいですね、これ全部覚えているんですか?」
「まあ、覚えること以外することがなかったからね」
実際、父親と母親がいなかったからか、ずっと家でもらった魔導書の魔法を覚えていた気がする。
「でも、これだけの分厚い魔導書の魔法をすべて使えるって相当すごいと思います」
「まあ、今まで使う場面なんて全くなかったけどな」
そう話すとなぜかリフィアは少し複雑な顔をしていた
「セントは幼いころから一人で暮らしてきたんですか」
「まあ、そうだと思うよ、なんでか僕は記憶があいまいであんまり覚えていないんだけど、サーシャ兄さんに助けてもらったりしてたから一人でいることは少なかったよ」
「それでも、よく頑張ったと思いますよ」
そう言ってリフィアは僕の手を握る。
「リフィア?」
「これからは私もいるんですから一人にはさせませんよ」
そういって安心させてくれるのは実にうれしいがだんだんと気恥ずかしくなってくる。半とか話の内容を変えようと話題を探す。
「それは、ありがとう、、あと、話は変わるんだけど、リフィアの家族はいないのか?」
「はい、もちろんいますよ!今は私が一人の旅に出ていると伝えてあるので」
「それは大丈夫なのか」
「はい、人魚は今まで十分に成長すると故郷から離れて別の場所で暮らすんです
これからの私たちの種族が途切れないように」
「へー、一度はあってみたいな両親に」
そういうとリフィアは顔を少し赤らめた。
「セントは、、、、まだ早いです」
そう言って外にまた魔法の練習をするために出て行ってしまった。
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