3-3

*レイプ描写あり



俺の祈りは届かなかった。

まだ、早朝だと言うのに。


「よォ」

「あ……」

「あ、って何だよ、あん?」


まずい、なんとか、なんとか機嫌を取らなければ。


「ご、ごめんなさい、今日は……」

「あん?俺の言う事が聞けねぇってのか?」

「放課後はどうしても用事が……」


言った時、日野森センパイの顔は歓喜に満ちていた。

その顔は、俺にとって絶望でしかなかった。


「あッ!あぁぁっ!!や、だ!おね、が!もぉ…ッ!!」


虚ろな目で、教室の掛け時計を見る。

(12時…)

俺は朝から、ずっと、ずっと、日野森センパイに犯されていた。

みのるとの約束は、守れそうにない。

ごめん、みのる。

普通の兄貴じゃなくて、ごめん。

そんな事を考えていると、突然後ろから首をグッと絞められた。

なんで、なんで俺ばっかり、こんな目に。

意識が遠のいていく。


(俺、普通に産まれてたら、こんな、事になんて、ならなかった、のかな……)


殺すなら、殺してくれ。

そうすれば俺はもう、苦しまなくて済む。

こんな体とも、おさらばだ。

俺の反応か薄くなって来たのが分かったのか、日野森センパイは俺の首を掴んでいた手を離した。


「首絞めてりゃキツくなるって聞いたのに、つまんねぇな。お前も反応しねぇしよ。飽きた、死ね」


ズルリと日野森センパイのモノが抜かれた。


「ッあ゛………」


いたい、いたい、痛い。

殴られた頬も、腹も、絞められた首も、ずっと挿入されていた2穴も、体も、心も。

あんなに痛めつけられたはずなのに。

俺は知らない内に日野森センパイに、依存していた。

だって、殴られるのを我慢していたら、”食事”を貰えるのだから。

こんな体でも、使って貰っていたのだから。

身動きをしない俺を、日野森センパイは振り向く事なく教室から出ていった。


(なんで、なんで俺が………)

「う、っ、ひっく………」


俺は裸でうずくまって、ただひたすら泣いていた。



***



(あの時なんて、何も、楽しくなかった)


あの時の事を思い出して、自然と涙が零れる。


「や、だぁ、もう、や、めてぇ…うっ、ひっく……」

「うるせぇな、黙れ」


また、殴られる。

いたい、いたい、たすけて、たすけて、らいむくん。

私がグズグズと泣いて、うずくまっているのが楽しくないのか、日野森センパイは私の事を蹴り飛ばした。

そして、そんな私を見下して、日野森センパイが話しかけてくる。


「これ、なーーんだ」


知らぬ間に、スマホを取られていた。

そしてそこには。


「やめ…」


来夢くんの名前と、通話マーク。


「コレ押したらどうなんだろうなぁ」

「ダメ、やめて、やめて、お願い………」

「そんなに必死になるって事は、よっぽどコイツの事が大事って事か、キモ、ウケんだけど」


日野森センパイは、楽しんでいる。

私が、苦しんでいるのを見て、楽しんでいる。


「そういえばさ、昨日オモロい動画撮ったンだったわ、折角だし一緒に見ようぜ」


日野森センパイが、自身の携帯を私に見せてくる。


「なに、これ……」


画面には、日野森センパイや他の取り巻きの男たちとの、行為が写っていた。


「イイの撮れただろ?ばらされたくないよな?」

どうして、いつの間に。


「ま、そゆことだからさ。明日もよろしくー」


私の地獄は始まったばかりだった。



***



あれから数日前が経った。

私は相変わらず、日野森センパイに動画を盾に脅され、体の関係を強要されている。

日野森センパイと二人の時もあれば、連れの男達にされる時もあった。

でも、家に帰れば来夢くんがいる。

それだけが、私の心の支えだった。


「宝、俺に言ってない事、あるよね?」

「何がですか?何もないですよ?」


私は必死に平静を装う。


「本当に?本当なんだね?」

「はい、大丈夫ですよ?来夢くんこそ、何かあったんですか?」


自分の話をしたくなくて、来夢くんの近況に話を向けようとする。


「俺は何ともないよ?でも最近宝、痩せたなーと思って。ご飯も食べるけど吐いてるでしょ」


気づかれていた。

最近、ご飯を食べるのもしんどくなっていて、食べては吐いてを繰り返していたのを。


「仕事、しんどいなら辞めたら?俺、こう見えても稼げるようになってきてるよ?」

「大丈夫ですよ?来夢くんこそ無茶しないでくださいね?」


そう言って来夢くんを無理矢理納得させる。

私はそんな来夢くんの顔を見ることが出来なかった。



***



「バレてないとでも思ってんのかな」


時刻は23時。

俺が寝たのを見計らって、宝は家を出た。

俺はそれを窓から見下ろす。

宝の身に何かが起きているというのは分かっている。

しかし、本人が大丈夫と言うのだから、手を出すべきではないのでは、とずっと考えている。

最近は俺が宝の事を触ろうとしても、怯えたような反応をする事が増えた。

驚いただけとか、ぼーっとしてたとか、適当な理由を並べるが、どう見てもそういう理由ではない。

それに、宝が俺を求めて来る事も極端に減った。

正式(?)に付き合い始めてから、宝は自分が精液を求めない時だって、俺とセックスがしたいと言ってくれていた。

それもぱったりなくなった。

セックスを求めて来ることが、そもそもなくなった。

明らかに何かを隠しているのは分かっているんだけど。


(俺の仕事の方も少し落ち着いたし、明日動いてみるかな)



***



呼び出された場所には、いつもと違う、顔も全く知らない、私よりも明らかに年上の男性達が居た。


「どちら様でしょうか……」


私の疑問に男性達が答える。


「君が館山宝くん?インキュバスなんだって?彼から聞いたよ、セックス中毒なんだろ?そんないい子ぶってないでとっととセックスしようぜ」

「こんな大人しそうなのに、人って分かんねぇもんだな」

「こらこら人じゃないだろ、インキュバスだろ笑」

「そうだった笑」

「ほら、とっとと脱げよ」


四人の男たちに囲まれて、無理矢理服を脱がされる。


「や、だ…やめて、ください……っあ!!」


下腹部の、淫紋をグッと押される。


「お、こんなのも感じるのか」


ぐりぐりと押されるだけで、私のモノは勃ち上がる。


「やっ、は!あ、押さな、でぇ…!」

「うーわ、もうち〇こ勃ってきてんじゃんやば」

「流石インキュバスだな」

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