3-2

*レイプ描写あり



それから私は事ある毎に、呼び出された。


「っあ!や、もう、ゆるし…」

「うっせぇ喋んな!!」


腹に蹴りを入れられ、私は胃液を吐き出した。

それが依頼者である男――日野森晃(ひのもりあきら)にかかったのが気に食わなかったのだろう、次は頬を叩かれ、髪を掴まれる。


「あん時は素直だったのによぉ」


あの時――それは私の高校時代まで遡る。

誰にも話していない、私の秘密、私の忌まわしき過去。



***



「あっ、あん、あ、あぁぁっ」

「ここが気持ちいいんだろ!オラッ!」


ドンッ!と奥を突かれる。


「気持ちいい、気持ちいいから、早く、早く出してぇ」


この時の私は、インキュバスとして誰でもいいから、男の精を受け入れる、それだけだった。

ちゃんと授業は真面目に受けるし、成績も悪くない。

だからと言って運動ができない訳では無い。

なので、先生達に何を言われても何とも思わなかった。


(アンタたちとは体の造りが違うんだよ。俺だって、普通の体に産まれたかった)


好きでも無い男に股を開いてセックスする事の何がいいのか。

学校ではビッチだ男好きだゲイだホモだと言われ、家では普通に産まれた純粋無垢な弟が俺を慕ってくるし、両親はそんな俺を哀れんだ目で見ている。

俺の心はもうとっくに壊れていた。

何度も死にたいと思った。

でも、怖くて出来なかった。

それくらい、俺は弱虫で、死ぬ勇気もないゴミだ。

だけど、仕方がない。

生きるためなんだから。

セックスをする時は、究極に腹が空いた時だけ。

だからそれ以外は、何をされようとも、セックスという行為を受け付けることはしなかった。

その時までは。


「なあ、お前が男好きってウワサの館山宝だろ?」


昼休み、知らない顔から声をかけられた。


「……誰?」


瞬間。

腹に痛みが走り、殴られた事に気付く。


「センパイに向かってタメ口なんて、年下のキモイホモのクセに調子乗んじゃねぇぞ」


周りにいる男たちは暴力を止めること無く、宝を眺めているだけだった。

しばらくして気分が晴れたのか、男は俺を殴るのを止めた。


「なあ、俺今機嫌悪ぃんだ、とっととヤらせろ」


そう言って、周りの男たちに見張りを命じて、俺はこの暴力男である名も知らないセンパイと2人きりになった。


「へぇ、2つも穴アンのか、ふ〇なりってやつ?やば笑妊娠されたらメンドーだけど、ま、いいか」

「や、やめ…」


殴られて力もない俺は、抵抗出来るわけもなく、無理矢理挿入された。


「い゛ッ!!い゛た゛い゛ッ゛!!」


流石のサキュバスの体でも、すぐに濡れはしなかった。


「やた!!ぬいてぇ!!!痛い痛い痛い痛い痛いッ!!」


膣が切れて血が出ているのが、見なくても分かった。

しかしセンパイはそれを気にする事はなかった。

ただ一つ、俺が喚いている事を除いて。


「うっせぇ!黙れ!!」


今度は顔を殴られる。


「俺が!気分よく!セックスしてるってのに!!邪魔、すんじゃ、ねぇよ!!!」

「こ゛へ゛ん゛な、さぃ……!」


俺はただ、早くこの行為が終わることだけを願った。

どれ位経っただろう。

周りが少しづつ薄暗くなっているのがわかる。


「あ、あっ、あぁぁっ」

「あー気持ちー、マジでま〇こだな、これ」


俺は何度も何度も中出しをされた。

その腹は、まるで妊婦のように膨れ上がっている。


「出すぞ、次は漏らすなよ。漏らしたらまた殴るからな」

「は、はぃ……」


俺は力の入る限り、ま〇こを締めた。

びゅるるるるっ!


「あ、あぁぁぁ…」


心は絶望に満ち溢れていた。

しかし、体は俺の気持ちとは裏腹に、出されたモノを嬉々として受け止めていた。


(早く、早く終わって……)


それからは、センパイの都合がいい時に、時間も関係なく呼び出され、セックスを強要させられた。

ただし、センパイに彼女ができた時は別で、話しかけることすら許されなかった。

なら、他の男を相手にすれば良かったのだが、センパイの”オンナ”と言いふらされては、誰も相手をしてくれなかった。

だから、空腹が長く続くと、外で誰か他の相手を探すしか無かった。

しかし一度それをしたところ、死ぬのではないか、という程に殴られた。

だから俺はもう、空腹を我慢するしかなかった。


連れ立ってる男から聞いたところ、センパイの名前は日野森晃。

最近転校してきたらしく、以前在学していた学校では、暴力で問題ばかり起こしていたらしい。

それは今も健在らしく、皆、殴られる事に怯えていた。

しかも、お金持ちの坊ちゃんというのだから、先生も何も言えずにいるらしかった。


(そりゃ何も言えねぇよなぁ)


殴られた腹を撫でながら、シャワーを浴びる。


「痛ってぇの」


慣れというのは恐ろしいもので、俺の体は痛みを快感に変換していた。

俺の体がサキュバスである事を、これ程までにありがたく思った事はない。


(サンキュー母さん、なんてな)


そんな事を考えていると、風呂場の扉が開く。


「兄ちゃん!」

「みのる!?」


弟であるみのるが入ってきた。


(見られる、殴られたアザも、淫紋も…!)


「ちょ、みのる、待って、母さんは?」

「?いるよ?」

「母さんと一緒に入れって!」

「やだ!兄ちゃんとがいい!だって最近兄ちゃん、相手してくれないんだもん!」


これまでは学校が終わってから、時々みのるの相手をしていたが、最近は日野森センパイのせいで、そんな体力はなく、帰っては寝るだけの生活だった。


「ご、ごめん、明日!明日一緒に勉強教えるから、

な?だから今日は…」


適当に約束を取り付ける。

が、この約束をしたという事は、明日は何がなんでも帰らないといけなくなった、つまり、日野森センパイの相手をしてはいけないと言う事だ。


「わかった!絶対!明日!!約束だからね!!嘘ついたら針千本だよ!!」


素っ裸で走り去ったみのる。

外からは、母の怒鳴り声が聞こえる。

俺はそんな声よりも、明日、日野森センパイが声をかけてこないことだけを祈った。

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