第4話

昨日とは打って変わって、静かなオフィス。

いつもより照明も暗い気がする。

窓打つ雨、雷の音。

みんな黙々と仕事をしている。

私も頭痛薬を飲みながらパソコンに向かっている。


変わらない毎日などない。

昨日と今日は違う。

同じに見えて違うのだ。


ランチの時間だ!


「せっかくだからカレー! 」じゃない。今日は……


「いらっしゃいませー。」


ここはナポリタン専門店。

私のイチオシはナポリタン目玉焼きのせ。


「来たー。」

湯気が立っている。ケチャップの香りの湯気。

ナポリタンの上には目玉焼き。


目玉焼きを潰すと、とろーっと黄身がナポリタンにからまる。

低気圧頭痛も吹き飛ばす美味しさと背徳感。

これで午後も頑張れる!


仕事帰り。すっかり雨は上がっていた。

いつもの交差点を急いで渡る。


「えっ……」

カップルとすれ違う。


元彼だった。横には可愛い彼女。

「手繋いでたなぁ。」



何年ぶりだろう。3年くらい経ったかなぁ。


私は胸が傷まなかった。

あの頃は好きだったのに……

何も感じなかった。

少しショックだった。


時間の経過は残酷だ。

そして有難いことに傷を癒す。


人も情景も状況も変わっていく。


彼と通ったカレー屋は今はもうない。


帰宅した。


「よーし!温めるぞ! 」


何を張り切っているかというと……2日目のカレーだ!


2日目のカレーは特別だ。

昨日のカレーとは全く別物だ。


時間の経過と共に、野菜の旨味が油に溶けだし、スパイスの刺激がまろやかになる。私はさらに牛乳を加える。


半熟卵も乗せよう。


せっかくだから2日目のカレー。


明日はどんな一日が待っているのだろう……


「ご馳走様でした!」



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