第7話 サウナで汗だく二人きり
〇家族風呂‐更衣室‐
ヒノキ風呂で体の芯から温まった俺たちは、更衣室に戻っていた。
「サウナに入るのなら、一度身体を拭くのが良いね。サウナ室が水浸しにならないし、何より、体に着いた水滴を拭くことによって、汗をいっぱいかくことができるんだよ。」
〇家族風呂‐サウナ‐
ドアをあけると、じりじりとした熱波が襲いかかってくる。
「すごい、遠赤外線!」
俺と美緒さんは並んで座った。(SE)
「君は、サウナがどこの国発祥か知ってる?……………。そう!フィンランド!北欧に位置する、スカンジナビア半島の国だね。」
世界地図を頭の中で広げるが、俺はあまり地理に詳しくない。それとなく、そうなんだと答えた。
「フィンランドの人達はサウナが大好きなんだって。中には、えっ?と思う場所にあったり。なんと、国会議事堂の中にもあるんだって!羨ましいよね〜♡……。あっ。お水と柄杓があるよ。……そうだ。OKって看板に書いてあるし、ロウリュウしちゃう?蒸気を発生させることによって、ぐっと体感温度が上昇するの。さらに、この高密度の熱波を団扇で仰いで空気を撹拌してくれる、ロウリュウサービスをやってるお店もあるのよね。中には、かける水をアロマ水にしているお店もあるの。」
ロウリュウは何度か体験したことがある。いつも時間を狙っているのだが、混んでいるせいであまり堪能できているとは言えなかった。
「君は慣れてるから心配ないけど、サウナに慣れていない人は自分の体調に合わせて入る分数を変えるといいよね。特に、アルコールが入った状態でのサウナは血圧が下がりすぎて危険だから……。他のお客さんに迷惑をかけないためにも、気をつけた方がいいね。」
確かに、サウナで誰か倒れでもしたら大変だ。
「……はぁ、汗が凄い……。見て、ちょっとしか経ってないのに凄い量。……ねぇ、岩盤浴でかく汗とサウナでかく汗が違うのって知ってる?」
汗なんて一緒だろと思っていた。俺は、美緒さんに何が違うのか尋ねた。
「さっき、岩盤浴でかく汗は皮脂腺から出たものだった言ったよね?サウナは汗腺から出るの。書いて字の如く、汗が出る腺だね。毛穴汚れなんかも一緒に流されるから、肌が綺麗になるって言われてるの。」
肌が綺麗になるのは、男女関係なく良いことである。
「それに、なんと言ってもこの……強烈な遠赤外線!非日常的な容赦無い感じが良いよね♡」
そんなお喋りをしていると、いつの間にか数分が経っていた。美緒さんはもう限界らしく、すっくとその場に立ち上がった。
「あー、もう駄目かも……!私、サウナ出るけど君はどうする?」
実をいうと、まだ入って居られるのだが、折角美緒さんと来たデート。一緒にサウナを出ることを選んだ。
「……そっか。じゃ、上がろう!一緒にアレしちゃおっか♡」
アレ、とはそう、一つしかない。
(シャワー音SE)
「大量の汗をシャワーで流してっと……」
美緒さんがシャワーを浴びている。
そして目的のアレがある場所まで、俺たちは移動した。
〇家族風呂‐水風呂‐
「いざ!Go to 水風呂!!……とは言ったものの、実は水風呂ちょっと苦手なんだよね……。えっ。君、平気なの?……わっ一気に肩までいっちゃうの!!?」
俺は水風呂は全然いけるクチである。俺が先行して水に浸かるのを見て、美緒さんは後を追って慌てて水面に足を踏み入れる。(水音SE)
「ひょわぁぁあ!冷たい!!!肩まで浸かりたいのに〜でも!この冷たさの先にある快感の為に……!我慢!そいやッ!!!」
ざぶん、と思い切って一気に浸かる美緒さん。最初はつらそうな表情をしていたが、次第に「無」の表情になっていった。
「…………もう何も感じない……。……不思議だよね。水風呂って、入った直後は冷たくて堪らないのに、10秒もすれば冷たさを感じなくなるんだもん……。人体の神秘ってやつだね……。」
美緒さんは悟りを開いたっぽい。水風呂に入って1分ほど経っただろうか。
「……さ、水風呂はこれでおしまい!外にあるリクライニングチェアに行くよ!」
この家族風呂は設備が整っていて、温泉にサウナ、水風呂は勿論の事、小さなバルコニーが備え付けられていた。そこには、寝転がることができるリクライニングチェアが2つ置かれていた。俺たちはそこに寝そべり、青い空を眺めた。
「……あぁー……。頭がふわふわするぅ〜♡整ってるって感じ〜……。」
この酩酊感は、確かに格別である。このふわふわ感は癖になりそうだ。
「本当に身体が整っているのかどうかはさておいて、この感覚が好きなんだよね……。健康に良いとか悪いとか、そう言うんじゃなくて……この頭の中がクリアになる感覚が好きだからやっちゃう……。」
「ね、君も……整った?」
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