23話

「てか、ちょっといいか桜花」

真剣な眼差しで言うと察してくれたのか桐花と凜も離れてくれた。


「分かったわ、ご飯の後でいい?」


「それで構わない」


なんて真剣な雰囲気だったけど今は母さんのご飯の時間だ、おいしく食べようぜ。


「「「「いただきます」」」」


はぁ久しぶりの母さんのご飯は美味いな。


まぁ久しぶりっていっても意識なかったから関係ないけどね。


「ねぇ蒼真」


「なんだ?桐花」


「あ~ん」


母さんの目の前でやるのか。まぁ可愛い彼女からそれをされてしないわけにはいかないか。


「っん。美味しい」


「じゃ私にもして」


「あ~ん」


「っん蒼真に食べさせてもらうともっと美味しくなるね」


そうなのか?


「蒼真くん私もあ~ん」


凜も乗ってきて、その後みんなで食べさせあった。


◇◆◇


「で、桜花話していいか」


ご飯を食べ終わった後俺は桜花と自室で話していた。


「えぇいいわよ」


「聞きずらかったんだが、今、皇家はどうなったんだ?」


「あの後で警察に捕まって、あの一件から他の罪も見つかって今も取り調べ中らしいわ。

それに王族から魔法一族追放命令が来たらしいわね」


「そうか。でさ桜花は今どうしてるんだ?」


「親戚の家に住んでるわ」


それなら良かった。あともう一つ


「桜花、君の母親は今捕まったし男を襲うって大犯罪だからすぐには出てこられないし最悪無期懲役なったりするらしいし。だから俺と関わっていなくてもいいんじゃないか?」


「っ!それはそうね……」


分かっていた。母親の指示がない今蒼真と関わっている理由がないことにも。でも、私はとっくに蒼真のことが好きなんだと思う。


だって初めて自分より強い相手で、母親の支配からも救ってくれたし、今まで、私は魔法一族の部分しか見られてこなかったのに、彼だけは私一個人を見てくれたから。


「でも蒼真あのね、私は母親の指示がなくても友達でいたいし、それにねこ、こ恋人にもなりたいわ」


「えーとあぁ」


そうなのか。桜花の自分の意思ならいいのか。ていうか恋人?!


「恋人になりたいって本当なのか」


「えぇ」


俺は桐花も凜も桜花も大好きだし、いいんじゃないか?


「ならさ付き合おう」


「え?」


「そんな言葉が返ってくるなんてって顔してるな」


「俺はとっくに桜花のこと好きだよ」


なんか俺もなんか変わったな。恥ずかし気もなくこんなこと言えるなんて。


「嬉しい。蒼真これからは恋人でいいのよね」


「あぁそうだ」


すると桜花の手がいきなり俺の頬を触ってきた。驚いている内に桜花の顔が近づいてくる。この雰囲気はまさか。


「「まだダメ!」」


凄い勢いで桐花と凜がドアを開けてきた。


「ファーストキスは私がもらうって決めてるの」


「順番はよく決めてからしましょうね」


ていうか2人とも話を聞いてたのかよ。


「え?あ、ごめんなさい」


急に恥ずかしくなったのか、桜花は自分の手で顔を覆ってしまった。


「俺もごめん順番とかよく考えるべきだった。そうだ、付き合った順にするのはどう?」


我ながら判断が早いな。


「桐花が最初なら良いと思うよ」


「それでいいから早くしよ」


「せっかちだな桐花は。じゃあいいか?」


そうして俺と桐花は唇を重ねた。


ん?!待て!舌まで入れていいとは言ってないぞ。流石に恥ずかしい。無理矢理桐花を引き剥がしなんとか喋れた。


「はぁはぁ桐花いきなり舌入れてくるのは聞いてないぞ」


「ごめん我慢できなかった」


そんな激しいことするから凜と桜花固まっちゃったじゃん。


「凜、桜花どうする?」


「ふぇ?あぁうんしたいな」


そうして凜と唇を重ねた。ちなみに凜は舌を入れてこなかったよ。 


「恥ずかしいけどなんか嬉しいな」


「なんか俺も嬉しいよ」


「桜花じゃしよっか」


「え?えぇ」


3度目なので緊張で動けない桜花をリードしてあげた。


「みんな大好きだよ」


「私も大好きだよ、ずっと一緒にいようね」


「早く結婚しようね蒼真」


「これからはよろしく頼むわ蒼真」


俺はこれからもたくさん大変なことがあるかもしれないでも、この幸せのためならなんでも頑張れると思う。


キスをしていたとき俺達は気付かなかった、母さんに見られていたことを。 













  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る