第1話 竈馬
「おばあちゃんから聞いた話なんやけど、連続して三回、トイレして手を洗わんかったら『カマドさん』が現れるって。カマドさんは便所に住む妖怪で、三回手を洗わずに出て行って、四回目に手洗い場にある鏡で自分の姿を見てごらん。そこにはあの、仮面ライダーみたく改造されたみたいな、自分と昆虫が混ざったみたいなバケモノが映ってて、そのまま鏡の中に引きずり込まれるそう・・・・・・」
「鏡が無いとこやったら?」
「知らん。・・・『便所コオロギ』って、知ってる?」
「あ、うん、ばあちゃん家で見たことあるで」
「暗くてジメジメした処が大好きで、足がバッタみたいに長くて気持ち悪いの。その足みたいにギザギザした長い腕で捕まって、バラバラにされちゃうらしい。だから、絶対に手洗いをしてた方がいいで」
「じゃあ、試しに今日から手、洗わずにいようかな」
「え、じゃあ、絶対に触らんといてな。消しゴムとかも貸さんから」
「え~」
そうして、私は自分で検証が出来ずに残念では居ましたが、直ぐに結果を見ることが出来たのです。
これも、クラスに一人は居る「俺、風呂三日は入らへんで」と豪語する不衛生な奴。
コイツなら三回連続で・・・っていうか、今までトイレの後には一回も洗っていないんじゃないか?とも思える子がいます。
人が手をちゃんと洗っているかどうかなんて、そんなこと気にしたことが無かったのですが、ちょっとそれ以来、コイツがトイレに行った時に私はしたくもない用を足しに後を付けて行って、三回以上を連続で手を洗っていない所を観察してやろうと思いました。
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