最終話 コイツ
一回目、お昼の時間。
案の定・・・・・・
※注(そんなに仲が良かった訳でもなかったのもあり、今では名前が思い出せません。終始「コイツ」で行かせてください。すいません)
コイツはトイレ後、手を洗わなかった。
※(てゆーか、そもそもコイツは絶対に手なんて洗ってないんだから、三回どころの話ではないはず。が、子供の頃の私はそこまで考えてはいなかった。てゆーか、そんなことよりもただ冒険感覚で楽しんでいただけ、みたいな?)
私はよっちゃんにコイツをターゲットにしていることを、一回目で手を洗わずに遊びに運動場へ向かったのを見て直ぐに伝えました。それ以降は二人で行く末を見守るようになるのです。
そして、放課後。
クラスの皆が帰宅前、私たちはずっと張り込みをしている様に、コイツが学校内での帰宅までの動向を追っていると
「おう、俺ちょっと小便!」
下品にも大きな声で、誰に言っているかも分からない感じでそう言い放ち、ボロボロのランドセルを背負いながら近場のトイレへとズンズンと歩いて行く。
一応に、私たちはなんだかワクワクしながら探偵ごっこかの様に尾行して、コイツが出て来るのを待ちました。
そこのトイレの手洗い場は中ではなくアーチ状に左右、男女に別れるように設置されていて、そこでは中まで行かずとも外から手洗いの有無をチェック出来るので、よっちゃんも一緒に現場を見ることが可能でした。
案の定、パートⅡ・・・・・・
コイツは手を洗うこと無く、鼻歌交じりで出てきました。
私たちは二人してクスクスとニヤ付き合いながらも、三回目はもう今日は学校での確認は出来ない状況だということも忘れて、私は「なぁ?」とドヤ顔をしたと思います。
すると・・・この後、とんでも無い事態が起きたのです・・・・・・
コイツに、距離を置いて話している私たちの存在が見つかってしまい、気に留めさせてしまったのです。
「あ!おう、あんなぁ・・・・・・」
呼び止められた私たちは、別に悪い事はしていないのにも関わらず、なんだかソワソワしながら話を聞いてました。
その話の内容は、今夜八時から放送されるバラエティー番組の録画を頼まれたのです。
「お、おう、分かったよ」
私はとにかく早く帰って欲しかったので、面倒くさくも二つ返事で了解しました。
「俺、ちょっと用事あるからな、頼んだで!」
ポンッ!・・・・・・
・・・軽快に私の肩に置かれた、コイツの『手』・・・もし漫画であれば、分かり易い汗が一滴、私のこめかみ辺りを垂れ流れたことでしょう。もしアニメであれば、分かり易い効果音と共に、額に多くの縦線が入り「ガーン!」と描かれることでしょう。
私とよっちゃんは、その置かれた右手にしか視線が行っていませんでした。当然でしょう。そして、その置かれた手は・・・何故か・・・手を洗っていないはずなのに・・・日焼けしたその肌が濡れて黒光りしていました・・・・・・
「じゃあな!よろしく!」
・・・・・・
「ギイヤァァァァァァ!!」
「キャァァァァァァァ!!」
コイツが去って見えなくなると同時に、私たちは叫び狼狽えました。その手はヌメヌメ、テカテカ、そんな擬音が当てはまります。
良く考えてみれば、コイツの髪もまるでワックスでも付けているかのようにいつもヌメヌメ、テカテカしていたのです。三日どころでは無い。一週間・・・いや、一か月はお風呂に入っていなれば、その状況には成らないはず。髪が一定数で皮脂と汗に束ねられ、それはまるで無数の
そう、よっちゃんの話、おばあさんの話は本当だったのです。
その後、私たちは下校中、ずっとエンガチョ、エンガ、ビビンチョ、エンピ、バリヤー・・・・・・
場所や時代で言い方は違うかもしれません。終わり無き空虚で最悪な鬼ごっこが、永遠に続きましたとさ・・・・・・
完
⇩NEXT 未定
『幼☆妖★体験記』 白銀比(シルヴァ・レイシオン) @silvaration
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