第23話 スーちゃんと初めてのキャンプをした。
スーちゃんが、男達を追い払った事を納得できない表情をしていた。
「どうしたのでしょ?まるで……ドラゴンか悪魔でも見るような、そんな感じで逃げ出して行きましたね……」
「そ、それは……えっと、スーちゃんの魔法が怖かったからじゃない?脅しじゃなくて、本当に魔法を使えるって事が分かって逃げて行ったんだよ!うんっ」
首を傾げていたスーちゃんが、何となく納得した表情になった。抱きしめていた私から逃れ、くるりと回転をして抱きしめ返された。
「ボクでも役に立ったのかなっ?」
「うん。そりゃー役に立ってるよっ!ありがとねー♪」
「うふふ……やったぁ♪」
寝てる時に魔獣や男達が襲ってきたら面倒だし……。イメージをして、集めておいた魔石に魔力を溜めて数個を辺りに設置をした。魔石で結界を張り、魔物や魔獣と男達が入れないようにと見えないようにしておいた。
「あ、これ食べれる?さっき薪を拾ってる時に、わたしに襲ってきたんだけど……」
適当にウソをついてしまった……ごめん。スーちゃん!
「わー!それ美味しい獣ですよ!すごい……なかなか倒せないんですよ!素早いし強いのでっ!」
スーちゃんが戸惑いなく目の前で、自分のナイフを取り出して解体を始めてしまってヤバい……とか思っていたら、何の恐怖感も抵抗も無かった。
魔獣を倒してたからレベルでも上がって、精神力とか恐怖耐性でも上がったのかなっ?ついでに可愛さも上がってくれないかなぁ〜♪
「直ぐに解体をしちゃいますね……んしょ……ここと、ここを切り離して……っと……」
あぁ……本当に解体し慣れてるんだなぁ……すごい、見てて感心しちゃうよ。
あっという間に獣が、食材となってしまった。スーちゃんが解体に夢中になっている間に……鍋とかまどを作っておいた。これでスープが出来るし肉も焼けるよね。
なんの疑いもなく目を輝かせて嬉しそうにしていた。スーちゃん!?純粋というか……チョロすぎるってばっ!変な男に騙されないでよねー!!
既に野菜と味付けがしてある鍋に、肉を入れて煮込むだけの状態の鍋にスーちゃんが肉を一口大に切り入れた。
私なら……この状況に、ツッコミを入れちゃう場面なのに。あまりにも短時間で拠点を用意しちゃったのに疑問に思わないのかなぁ?
焚き火を見つめて、寄り添って幸せな時間を過ごした。
「もう煮えたと思うよ。食べちゃおー」
「はい」
出した器にも疑いなく受取った。その器にスープを注ぎ、お皿に肉とパンを置いて渡した。
「すごいですね……こんな豪華な食事を林の中で頂けるなんて……それにミサ様と……2人だけ……うふふ……♪」
スーちゃんがブツブツと独り言を言って笑顔になっていた。スープの味はイメージした美味しいスープで満足、満足♪お肉も変わった味だったけれど美味しかった。
テントの中に入ると不安そうな表情をしていた。
「どうしたの?」
「見張りは、ボクがするよ……」
スーちゃんが決意を固めた表情をして宣言をして来た。その決心は嬉しいけど、その必要はないんだなぁ。それより一緒に寝たいな〜
「だーめ。一緒に寝ようよー」
「でも、魔獣や不審者が……」
「それは大丈夫だよ。結界を張っておいたから」
「結界?あーリサ様が教室で話しているのを聞きました。そうだったのですか……助かります。安心して寝れます……」
一応恥ずかしいの交代でテントに入り、ネグリジェの様な物を出して用意をして渡した。
「これに着替えないと、制服じゃ寝にくいでしょ?」
「あ、ありがと……ございます。これ可愛い……」
ボーイッシュだけど、可愛いのが好きなんだ?あそっか……制服しか見てないからな……普段着とか見てみたいなぁ。ドレス姿も見たい!
交代でテントに入り着替えをした。一緒に着替えたかったけどなぁ……さすがに今日、出会ったばかりだしね。
私が着替えている時に一応、床の部分に地面の硬さが伝わらないように、厚めのスポンジのシートを敷き詰めて……大きいサイズのマットレスを置いておいた。さすがにツッコミをされそうだよね……? バッグに入る大きさや量じゃないし……あはは……
着替えが終わると、スーちゃんを呼び入れた。
「スーちゃん!着替えが終わったよ!入ってきて良いよー」
「はーい!入りますよ……?」
「うん。どーぞ!」
ベッドやテントに、何の疑いも無くスーちゃんがテントに入ってきて、寝床の前に来た。あれ?これも?わざと気を使ってくれてスルーしてくれてる?
ドキドキ……しながら毛布を広げて入っておいでーとアピールをした。
「えっと……一緒に寝ても良いのですか?」
「う、うん。テントにこれしか入らないし、嫌だった?」
「あの、ボク……寝相が悪いかもです……」
スーちゃんが俯き恥ずかしそうに答えた。あぁ……私も寝相が悪いかも……朝起きたらリサの胸を揉んでたし。
「えっと……私も寝相が悪いかも……」
「そ、そうなんでか……一緒ですね」
「はやく入ってきなよー」
緊張をした表情で、そっと靴を脱いでベッドに入ってきて距離を取ってベッドの端にスーちゃんが横になっていた。うぅ……そんなに距離を取らなくても良いのに……警戒してるのかなぁ?ちょっとショックかも……お世話をしてくれたり、仲良く出来てたのになぁ。
「そんなに距離を取って、警戒をしなくても良いのにーヒドイっ」
ムスッと表情で頬を膨らませて、スーちゃんに文句を言うと恥ずかしそうな表情をして小さな声で答えた。
「それは……その……着替えたけど……お風呂にも入っていないので、汗臭いですし……」
あぁ……そっか。自分だけ汗でベタベタしてたから無意識に、キレイにって思ってたら魔法が発動してて自分だけキレイになってた。そりゃ……気にしちゃうよね。ボーイッシュな女の子だからって見た目だけで、男の子じゃないもんねッ。
横になっているスーちゃんに手を翳して、洗浄魔法を掛けた。
「どうかな?まだ匂いが気になるかなぁ……?」
毛布に潜り自分の匂いを確認して、ピョコンと笑顔になった顔を出した。
「いい匂いになってますっ」
そう言うと徐々に近づいてきたけれど、距離がまだ少しあった。
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