第22話 魔獣の出る林で野営をする事に決めた。
魔獣の出る林の中で迷子になり、そんな事も忘れてスーちゃんとイチャイチャしようとしていた。
「スーちゃんに寄り掛かっちゃったぁ……」
「はい。疲れちゃいましたしね。良いですよ」
「支えてくれると嬉しいなー……落ちちゃいそうだし」
「……え?は、はい……こうですか?」
震える手が、私の脇腹の辺りに回されて抱き寄せてくれた。わぁ……これってさぁ……デートみたい♪緊張してきた……なにこの状況……最高だなぁ。ずっとこうしていたいなぁ……
「ありがとねー」
「あのですね……今日中には、帰れないと思うのです」
「そうだね……私は、スーちゃんが居れば安心で大丈夫だよ?」
「そんな……ボクがいても……役に立ちませんよ?魔獣も結局、倒せませんでしたし……お料理も出来ませんし」
俯いて暗い表情をして、私の体に回された手にギュッと力が入ってきた。実際、スーちゃんが居てくれて力強いし頼りにしているんだけれどなぁ……それに一緒に居て楽しいし。
「でも、一緒に居てくれて心強いし、頼りにしてるよー?そんな暗い顔をしないで?ね?」
「……ですけど、ホントに役に立ちませんよ?」
「いつもの、動じない表情はー?」
「あれは……学校でつまらないので……無表情なだけですよっ。動じてないのでは無いです……」
「それでも頼りにしてるよー」
私もドサクサに紛れて、スーちゃんの脇腹に両手を回して抱きしめた。うわぁ……スーちゃんを抱きしめちゃったっ♡ お腹が柔らかくて、それに顔が近いなぁ……このまま頬と頬を着けたら……と想像をすると胸がキュンっとしてヤバいなぁ……
「ミサ様……恥ずかしいですよ……それに近いですって……」
「そ、そうだよね……ごめんね」
「い、いえ……嬉しいですけど近くて緊張しちゃいます……」
頬を赤くして目を逸らすので……思い切って頬を着けると体を震わせて、スーちゃんも両手を回してきて抱きしめてきた。
「……安心します……このままもう少しだけ……お願いします」
「あれー嫌だったんじゃないのー?」
うぅ……バカ。私……。照れ隠しで、また余計なことを……
「……嫌だなんて言っていないです」
「……そうだった?なら、もう少し……ね」
「はい。もう少しだけ」
横向きだったスーちゃんが、座り直して正面から抱きしめ合った。わぁ……スーちゃん胸が当たってるよ?この感触は興奮しちゃう……ってばぁ……♡
「スーちゃんって、一途だよね……」
「な、何を言ってるのですか?」
「今日は、1日中さ……私の面倒を見てくれていたし……嬉しかったなーって思って」
「それは……ボクに話し掛けてきてくれて、それに優しくしてくれたので……恩返しといいますか……お役に立てればと……」
やっぱりそっか……好きとかの感情はないかぁ……だよね……今までが幸運だったんだよね……リコちゃんにルリちゃん、シャルちゃんは好きって言ってくれてるのが当たり前になっちゃって勘違いだったかぁ。
「さて。寝る場所を用意しちゃおうかー」
「……はい。分かりました……」
あからさまに残念そうにしてる……?疲れているだけだよね?
「スーちゃんは座ってて良いよ。直ぐに終わるしさー」
「それはダメです。ミサ様も疲れているので、お役に立ちたいです!」
「じゃあ、薪を拾ってくるから火の用意をしてくれる?」
「……はい」
叢の中に入ると、辺りの枯れ枝や薪になりそうな物をイメージして目の前に集めて、縄もついでに出して薪を纏めてスーちゃんの元へ数回に分けて運んだ。
スーちゃんが薪に火を着けるのに集中をしている間にテントを設営をした。よし!寝床の用意も出来たし完璧だね!
日が暮れだした時に冒険者風の男たちが火を見つけて寄ってきた。
「おっ!可愛い女の子がいるぞ!ラッキー」
「マジか!超……可愛いな。おい」
「お兄さんたちも混ぜてよ!」
「お兄さんたちさー道に迷っちゃって困ってるんだよねー」
「近寄らないで!それ以上、近寄ると攻撃します!」
スーちゃんが両手を広げて、私を守る様にしてくれているのが嬉しい。
「はぁっ!?攻撃だと?可愛いお嬢ちゃんがか?」
「俺達は冒険者だぞ?お嬢ちゃん達の攻撃が通用するかなー?これでもなー魔物や魔獣と、ずっと闘ってきたんだぞ?」
「お嬢ちゃん、人を攻撃したことがあるのか?そんな度胸があるかな〜?はっははは……仲良くしようぜー」
スーちゃんの警告を無視して近付いて来るのでスーちゃんが詠唱を始めた。はぁ。魔物や魔獣よりも男どもの方が厄介だねぇ……まったく。
スーちゃんから見えない後ろで軽く威圧をして睨みつけて恐怖心を与えた。すると青褪めてその場に座り込み震えだした。
少し……やり過ぎたかぁ……これじゃバレちゃうじゃないの……何が魔物や魔獣と闘ってきたんだぞだよ。全然ビビりじゃないのさー軽い威圧で腰を抜かしちゃって……
「スーちゃん、守ってくれて……ありがとねー」
後ろから抱きしめて、男達に軽く電気ショックを放つと我に返り逃げ出していった。危ない、危ない……バレちゃう所だったじゃないのよ。
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