第3話 リコちゃんと学校へ向けて出発。

 昨日は、リコちゃんのお陰で無事に家族に怪しまれずに過ごせた。私の両親は、優しい感じで良かった。貴族だというのだから厳しくてプライドが高く、偉そうにしているってイメージだったけれど、そんな事はなくて安心した。


 それにしても……本物のメイドさんを見てドキドキ……してしまった。ここの世界……ホントにすごい!あーでも、憧れていたメイドさんに……私、お世話をされてないんですけど!

 まぁ……その代わりに可愛いリコちゃんが、色々とお世話してから良いか。


 それで今日は、問題の学校に登校をする日だ!と言っても学校が始まるのは、数日後らしいけれど。

 1ヶ月寮暮らしで1週間休みという感じのスケジュールとリコちゃんから説明をされた。遠くから学校へ来ている人が家に帰るのを考えられているらしい。私の家からは馬車で2日の場所に学校があるみたい。


 私、馬車って初めてで楽しみかも!リコちゃんは嫌そうな顔をしていたけれど……楽しそうなのに!両親に見送られて馬車に乗り込み出発!


 …………………………



 ……………………



 馬車に乗って15分ですでに飽きて、おしりが痛いんですけど……未だ着かないの?馬車の振動が直にお尻に伝わってくるし……揺れがヒドイし暇だよ。もう……イヤぁ……リコちゃんが嫌そうな顔をしていたのが理解できるよぉ……

  

「ねぇ……リコちゃん……まだぁ……?」

「お姉ちゃん……説明したよねー?あと2日後だよ」

「リコちゃん……つまんないし、おしりが痛いよー」

「もぉ。おしりって言わないで……恥ずかしいよ。他の人の前では言っちゃダメだよ!」

「はーい……」

「……痛いなら……わたしの膝で……寝る?」

「え?良いの?」


 え?私の方が、お姉ちゃんなんだけどなぁ……でも、甘えちゃおっと……♪


「後で、交代しようね?」

「わぁ……うん! お姉ちゃんの膝枕、好き……♡」

「そんな顔しないでよー」


 目を潤ませて嬉しそうにしてるので……早く交代をしなきゃかなぁ……


「な、何の事ですか……?」


 リコちゃんが、恥ずかしそうにそっぽを向いた。


「リコちゃん……頭を撫でてー?」

「え?……は、はい……」

「りーこちゃん♪」

「はい?」


 可愛く首を傾げて、返事を返してきた。


「ううん。呼んだだけー♪」


 こういう恋人同士みたいな事をしてみたかっただけ……恋人なんか、前の世界では……いなかったし。男子には告白はされた事はあるけれど……興味がなかったし。


「……なんですか、それー」

「可愛い名前を呼んでみただけだよ」

「そ、そうですか……お、お姉ちゃん……」

「はーい♪」

「……わたしも、呼んでみただけです」

「そっかー、うふふ♪ 何だか楽しいね?」

「うん。楽しい……ドキドキしちゃいますねー」

「交代する?」

「……まだ、大丈夫……もっとナデナデしたい……」

「うん。私も撫でられたいー」


 夕方に豪華な宿屋に着き、やっと……馬車から開放された……はぁ、疲れた……。部屋はリコちゃんと同じ部屋でベッドが2つだった。


「豪華な部屋だねー」

「えっと……そうですかね……狭いと思いますけれど……」


 家と比べたらダメでしょ……


「ベッドが2つあるね……。どうする?私は、どっちでも良いけど?」

「私も、どちらでも大丈夫ですよー」


 適当にベッドに横になると、リコちゃんも隣で横になった。あはは……やっぱり隣に来てくれたなぁ……♪


「リーコちゃん♪」


 と名前を呼び抱き着いた。


「きゃぁっ♡ あわわ……お姉ちゃん……ビックリするよ!」

「ごめーん」

「そ、そのままで大丈夫です……」

「うん。私もこのままが良いかなぁ……落ち着くしいい匂いだし……」

「……匂いは嗅がないで下さい!」

「だーめ。いい匂いだもん……」


 顔を真赤にして、リコちゃんが抱き返そうとするとドアをノックする音がして慌てて離れてしまった。


「どちら様でしょうか?」

「お食事をお持ち致しました」

「どうぞ。お入りになって下さい」


 あれ?鍵は閉まってなかったんだ?


「鍵は?」

「大丈夫ですよ?ドアの前に護衛の方が付いているので、指示をしなければ入ってこないですよ」

「そうなんだ?そーっと覗かれたりしないの?」

「そんな事をすれば……お父様が許さないですよー」


 ふぅ〜ん……護衛まで付いてるんだね……すごい!さすがお貴族様って感じ……


 ベッドに仲良く二人で座って話をしていると、メイドさんが数人掛かりで料理を並べ始めて、あっという間に大きなテーブルに豪華な料理が並び終わっていた。


 食事を終え、寝る支度を済ませてベッドに入ると……思った通り恥ずかしそうに、私が寝ているベッドの横に立ち私を見つめてきたので布団を捲り、入ってきて良いよと合図をすると満面の笑みで布団に入ってきた。


「わぁ……お姉ちゃんと一緒に寝れるんだぁ……♪おねーちゃん♡」


 二人で抱き合っていると、馬車に乗っていた疲れが押し寄せてきて、いつの間にか眠っていた。


 2日間の旅を終えて学校の寮に荷物を運び入れてもらい、リコちゃんと別れ自分の部屋にメイドさんに案内をしてもらうと、ここもやっぱり豪華で広い部屋だった。


 ここで1ヶ月暮らすのかぁ……。魔法……ってどうやれば良いんだろ……。ベッドに寝ながら指を上に向けて、呪文を何度も唱えて光る気配すらない……


 ホントに私に魔力があるのか疑問に思えてきた。実は私の前の人格の人?が魔力があって、私には魔力が無いとかじゃないかな……


 コン!コン!コン!


 ドアをノックをする音が聞こえたので返事をした。


「はーい!」

「リコッタです」

「どーぞー♪」


 笑顔のリコちゃんが駆け寄ってきた。そんなに嬉しそうにされると私も嬉しいよー♪10分くらい離れただけだよ?もぉ。リコちゃんに彼氏が出来たら……ずっと彼氏と一緒にいるんだろうなぁ……羨ましいっ!妬けちゃうなぁ……


「……彼氏は、まだ早いからね!」

「え?……は、はい……」


 首を傾げて不思議そうな表情をして返事を返してきた。


「彼氏……ですか?作る気もないですけれど……お姉ちゃんと一緒に居られれば良いので……」


 そう言いながら私の隣に座ってきた。

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