5. 『黒き呪血のクレイモア』(著:MS3)

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『黒き呪血のクレイモア(著:MS3)』

作品URL:https://kakuyomu.jp/works/1177354054892320803


読了話数:8話まで

良かった所:

・ストーリーの雰囲気に合った硬派な文体


悪かった所:

・初動の遅さ、今後の展開への期待感の低さ


その他:

・ダークな雰囲気でとても好みの作風でした。

・好みではあったのですが、1話目の期待値が高くなかったのが残念でした。


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 8話まで拝読させていただきました。

 硬派な文体なダークファンタジー、という印象で私の好みの感じでした。

 ですが面白い、よりも先にもったいない、が先行してしまいました。


 それは初動の遅さと期待感の低さです。

 そう感じた理由はプロローグの長さにあります。この作品は4話までがプロローグという構成なのですが、その中で話が動き始めるのは2,3話目あたりからです。

 1話目では主人公が正教会と呼ばれる組織に追われている事と、どうしてそうなったかの理由が描かれています。これは世界観のために必要な話ではあると思うのですが、読み進めるための動機モチベーションつながっていないように思いました。


 確かに世界観の説明と主人公の境遇、敵対する存在、それらが1話の中にまとまっているので非常にきれいな展開だと思います。

 一方で、それらが1話の中で完結してしまっているのでそこで読む側の興味は鎮まってしまいます。

 例えば、ミステリー物では「犯人が誰かわかった。しかし今はそれを言うべき時ではない……」などと探偵がもったいぶるのがお約束です。読む側としては「一体だれが犯人なんだろう?」と『謎』が気になり先へ進んでいきます。時に、犯人が早々に明かされるパターンもありますが、その場合は新たな『謎』が出現し読者の興味を惹きつけます。


 それを踏まえてこの作品の1話を見直してみます。

 まず主人公が正教会と呼ばれる組織に襲われます。これのアンサーは「主人公が正教会から逃走しているから」になります。

 ではどうして逃げ出した主人公を正教会が追っているのか。これのアンサーは「主人公は正教会の手によって祝福という名の呪いを受けており、正教会にとって非常に価値のある存在であるから」になります。

 変な違和感もなくストレスフリーに読めますが、この話の中で全てが完結してしまっています。不死の主人公が救いを求めて旅をしている、そんな物語の一幕として綺麗にまとまってしまっています。

 もし仮に、この第1話を短編として公開したとしてもあまり違和感は無いと思います。



 これはあくまで好みの問題かもしれませんが、プロローグ4話の構成を変えるだけでかなり面白さが変わってくると思います。

 2話目では主人公の目的地である白霧の森にたどり着き、ヒロインが登場します。これを1話目に持ってくるだけでだいぶ変わるのではないでしょうか?

 不死の存在に変えられてしまった主人公が冒頭でいきなり自害しようとする。インパクトとしてはこの上ないですね。そしてどうして彼が不死になってしまったのかの理由を示せば、敵である正教会へのヘイトも高まり敵としての『説得力』が増すのではないでしょうか?

 しかし自害は失敗し、怪物に襲われる。そこでヒロインが登場し主人公を助ける。所謂『ボーイ・ミーツ・ガール』の構図となります。恐らくヒロインが主人公にとっての救いとなるのではないか? そんな期待感も抱かせることができると思います。


 1話と2話の順番を入れ替えるだけでも、話への期待感という意味では大分変ってくるのではないでしょうか? 今の例はあくまで個人的な好みなので、これが正解ではないと思います。

 あくまで面白くないから変えろ、とかそういう話ではありません。

 この作品は完成度としては高い部類だと思いますし、読み進めていくと世界観や登場人物もしっかりと作られていることが分かります。

 それだけに初動の遅さが足を引っ張っているように感じてしまいます。

 面白いからフォローして、そのうち続きを読もう。この『そのうち』は明日かもしれませんし、来週かもしれない。もしかするとそのまま忘れられてしまうかもしれない。やはり一番最初の掴みは肝心なんだな、と感じました。



 以上が読んだ感想となります。

 忖度なしで思った通りのことを書かせていただきました。

 もし不快な気分にさせてしまったら、申し訳ありません。この感想は削除しますので、仰ってください。

 

 

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