第17話 20XX年8月26日


 祝! 全日本ジュニア優勝!


 いやー、結構あっさりと優勝できちゃったよ。

 初戦のR64が6-0 6-1だったでしょ? 二回戦のR32も6-2 6-2で、三回戦のR16も6-3 6-2のストレート勝ちだったし、準々決勝QFも6-4 6-1で準決勝SFも6-3 6-3のストレートで危なげなく決勝に進出できちゃいました。


 そして、今日の決勝も6-4 6-3と今大会は1セットも落とすことなく、全試合ストレート勝ちを収めて優勝することができました!


 ばんじゃーい! (∩´∀`)∩ やったね!


 私にとって全国大会での優勝は、これが初めての経験になります。

 私ってば、突然覚醒しちゃったのかな?


 先週までタイに行っていて、二週連続でITFジュニアの大会に出場して、海外の年上の選手を相手に試合をした、その経験が今大会に活かされた気がするよ。

 子供の頃から海外で試合をすることは良い経験になるとか、テニス界のレジェンドたちも言っているから、タイでITFジュニアデビューしたことは正解だったんだろうね。


 あと、今大会はU-14と相手が同世代の選手ばっかりだったから、気持ちの面でも気楽に感じられたのも大きかったのかも知れない。


 だけど、今回の全日本ジュニアU14のカテゴリーは、中三の早生まれコンビと中二のNo.1が、チェコで開催されているワールドジュニアに出場するため、日本に不在だったんだよね。

 そのおかげもあって、私が優勝できた可能性が高かったよw


 それでも、誰が何と言おうと、優勝は優勝であります。



 それにしても、残暑が厳しい中、六日連続での実戦は結構キツかったよ。

 だから、全日本ジュニアに集中したかったし、日記はお休みしてました。


 初日から三日目までは、自宅から有明まで通っていたんだけど、往復で二時間の時間をロスするのがもったいないということで、準々決勝からは会場近くにあるホテルに泊まることになりました。

 この調子で行けば優勝を狙えるかもしれないからって、スクールがホテル代を出してくれたんだよね。


 特待生への好待遇が逆に怖いです。

 リボ払いとかで、後から払えとかじゃないよね?


 なるほど、これがお母さんが言っていた、しがらみが増えるということなのかも知れない。


 まあ、自分のテニスクラブに所属しているスクール生が、全日本ジュニアで優勝すればクラブの宣伝にもなって、新規のスクール生が入ってきやすくなるとか、営業面でのメリットとかもあるんだろうなぁ。

 そうか、特待生に宣伝と広告の役割を期待しているからこそ、この好待遇ということでしたか。


 スクール生が活躍すれば、選手を指導したコーチは優れた指導者ということで、自ずとコーチの格も上がるもんね。

 ということで、コーチは優勝した私に感謝してもいいのよ?


 私もコーチの指導のおかげで優勝できたと、ちゃんと思っているからね!

 ……半分ぐらいは。


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