第7話 ありがとう。の当日 前編
『初めまして!』
『…は、初めまして…』
『あ!私の名前は○○!』
『○○…ちゃん。あ、私の名前は△△です。』
『へー!すっごくいい名前だね!』
『あ、ありがとうございます。○○ちゃんの名前、素敵です。』
『えへへ。ありがとう!』
とても嬉しそうに○○は笑う。
『そうだ!』
何かいいアイディアを思いついたように、ニコっとした。
『私と友達にならない?』
一瞬何を言ったのか分からなかった。
『…友達ですか?』
『うん!』
『…あの…』
『うん?』
○○は首をコテンと傾げた。
『わ、私と…友達…に、ならない方がいい…と思います。』
『…なんで?』
○○は何にも悪気がないように聞く。
『…友達…1人もいないから…』
『え?』
『……だから、私と友達にならない───』
『じゃあ!私がいっちばん最初の友達になったげる!』
『え?』
『私も実は友達いなくて。』
えへへと頭をかく。
『…いないんですか?』
『うん。引っ越して来たから。』
『あ…』
『大丈夫だよ!気を使わなくて。』
『…じゃあ、と、友達になりましょ。』
『え!ありがとう!』
『いえ。』
『ねぇ、タメだからタメ口でいいよ!名前も呼び捨てにしちゃって!』
ニコっと笑う。
『じゃあ、○○。』
『うん!』
『な、なんかなれないです。』
『あはは!最初はそうだよね!』
『あの…なんで私なんかに話し掛けてくれたんですか?』
『んー。あの時に似てたからかなー。』
『…あの時?』
『うん。それはね───』
✩.·。*.·゚✧.·。*.·゚✩ .·。*.·゚✧.·。*.·゚☆.。.:*・°☆
ピピピピピ!ピピピピp
カチッ!
「…うーん。朝?」
チラッとカーテンを見ると朝日がキラキラと小さな隙間から光っていた。
(眩しい…眩しすぎる…)
朝日にやられていると、ハッと思い出した。
(そういえば、なんか懐かしい夢を見たな…)
さっき見た夢は、小学3年生の時のだ。
突然夏にやって来て、突然友達になろうと言った子。
(あの時は本当にびっくりしたな。)
一言で言うと、嵐のような子だった。
でも、朝日のようにキラキラした子でもあった。
(でもすぐに転校しゃったんだよね…そういえば、あの子だけは話しかけてくれたな…)
思い出に浸っていると、学校に行くことを思い出した。
(ヤバ!)
バッと時計を見ると7時を過ぎていた。
(急がないと!)
ここから学校は少し遠い。
歩いて25分くらいだろうか。
登校時間は8時10分までだが今日は早めに着きたい。
(早めに着いて、優さんを誘うんだ。)
急いで制服を着て、ポニーテールにする。
いつもは朝ごはんを食べるが、そんな余裕はない。
(よし!)
かけ足で部屋を出て、ドアを開けようとした時、話し声が聞こえた。
ピタッ。
いつも話を聞こうとしてしまう。
私を見下す話か、大嫌いな人の話なのに。
…それなのに聞いてしまう。
でも今はそんなことをしている場合ではない。
家族がどんなことを言おうが関係ない。
(私は優さんを誘うんだ!)
ドアを勢いよく開け、飛び出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます