第2話 欲しかった言葉1

「ごめんね…。その、泣かせたいわけではなく。」


息をスゥーと吸って、ゆっくり吐いた。


「だ、大丈夫……です。」

「そっ、そっか。」

「……。」

「……………。」


(な、なんて言えばいいんだろう?)


私は滅多に喋ることはない。

喋ると言っても「はい。」か「いいえ。」の2択だ。

そんな私に普通に接してくれる人は今までの人生で、出会ったことはない。

ついさっきまでは…。


(どうしよう…。)

汗がダラダラと流れるのがわかる。


すると、優が


「本当に嫌だったらごめん。謝る。でも、何か力になれる事があるなら…、聞かせてほしいな。」


ゆっくり息を吐いてから喋った。


「………。私は、小さい頃から親の言いなりだった。塾にバレイ、ピアノ教室、ありとあらゆるものをやらされた。」

「うん。」

「でも……、散々!!親の言う通りにしてきたのに……。」

「うん。」

「やりたい事、好きな事、全部!!!!……………………。」


そこで言葉が詰まった。

言えなかった。

喉が締め付けられるようだった。


「……認めて貰えなかった?」


コクンとうなづいた。


胸がキュウと締め付けられる。

悲しい。

悔しい。

自分が情けない。

色んな思いが込み上げてくる。


「……今まで、よく耐えたね。」


その言葉を聞いた時、涙がこぼれた。

温かさがあった。

包まれているようだった。

(もしかしたら、欲しかった言葉の中に入っていたの……。)

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