第十話 家族集結?



「零夜、晴夜ご飯よ〜」と母が僕たちを呼ぶ声が、リビングと僕の部屋は離れていたけど、聞こえてきた。


 僕は時計で時間を確認した。こまめに水分補給もしながらテスト勉強をしていると、気づいた時には時間は7時過ぎを回っていたようだ。集中していると時間が過ぎるのはあっという間で、もう夕飯の時間になっていた。僕は教科書などを閉じて、筆記用具もしまうと、僕の部屋を出てリビングに向かった。






 

 



 リビングに入ると、テーブルはまだ料理で埋まっていなくて、ちょうど母が台所から料理を運んでいる最中だった。僕も母を手伝っていつものようにテーブルに運んだ。晴夜も後から入ってきて、汁物をこぼさないように慎重に運んでいた。






 運び終わり席に着くと、僕は心臓が早鐘を打ちながら、母に朝のことについて話を切り出した。

「母さん。今朝、調子が悪いと言って休んだのに、神社に行きたいからといって、何も言わず急に家を出てきてしまったことって怒ってる?」


 

 母は一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに優しい顔をして、「零夜は思いやりがあって、優しい子だから、体調が悪いのに、何も理由がなく外出すると思っていないわ。零夜にとってあの神社は大切な場所で、パワースポットだものね。でも、本当に心配だったから、次からはちゃんと言ってね。」


 その母の僕を思う温かい言葉を聞いて、僕は感謝の気持ちが湧き上がってきて、日頃のお礼が自然と口から出てきた。

「いつも心配させてしまっているけど、そんな僕に毎日お弁当を作ってくれてありがとう。僕に深く向き合ってくれてありがとう。」


 母は微笑んで、「零夜の気遣いはありがたいわ。こちらこそ、いつも助けてくれてありがとうね。」と言った。


 その言葉を聞いた僕は、母の言葉にとても温かい気持ちになった。


 そして、母は僕と晴夜を抱きしめて、「それに、私は零夜と晴夜にはいつも癒されているわ。」と言った。





 そのまま抱きしめられていると、晴夜が瞬きをしながら不思議そうにして、「お兄ちゃん、ママ食べないの?」と言った。


 僕は晴夜の方を向くと、まだ食べずに待っていたみたいだった。今日の夕飯はご飯、焼き鮭、野菜炒め、豚汁で、そのどれも手をつけられていなかった。


 母は「そうね、食べましょう。いただきます」というと言って、僕たちも食事の前の挨拶をすると食べ始めた。

 僕は母への感謝を噛み締めながら、ゆっくり食べた。

 晴夜はご飯粒をつけて食べていたので、取ってあげた。










 僕は食べ終わり、食器を片付けていた。片付け終わり僕の部屋に戻ると、スマホに通知が来ていた。LINEを開くと、仕事で主張中の父、響夜きょうやからのものだった。

 ————————————————————

 < 時雨響夜


 ◯<(今日学校を休んだらしいね。テストを休むほどのことがあったんだよね?大丈夫だったかい?🥺)17:00


 >零夜(テスト前だから、昨日少し無理をしてしまったんだ。でも、睡眠も十分とれたから、もう平気。)19:48 ————————————————————


 僕は父に対して返信してスマホを閉じた。










 〜10分後〜

 父から電話がかかってきた。僕はすぐ電話に出た。


「零夜、大丈夫か?体調は問題ないんだな?」


「もう、大丈夫だよ。元気になったから心配しないで」僕は父を安心させように言った。


「それなら、良かった。今夜も無理しないようにね。ところで、今は出張中だけど、終わったたらお土産を買ってくるから、楽しみにしていていてくれ。」


「ありがとう、父さん。楽しみに待っているね。」


「後でまた連絡するからな。雪花と晴夜に伝えておいてくれるか?」


 僕は了承して、電話を切った後、リビングに戻って母と晴夜に父からの電話の内容について教えた。


 母は「楽しみね」と微笑んだ。

 晴夜は「お土産って何かな?楽しみ!」と興味津々だった。それに、僕や母にも見せた絵を帰ってきたら見せたいようだった。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

虚弱体質な時雨の魔術師 yuit @yuityuit

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ