第九話 明るく元気いっぱいな弟

 

 僕の弟が帰ってきたみたいだ。

 弟の晴夜はリビングに勢いよく入ってきて、ランドセルを背負ったまま、眩しいほどの笑顔で僕の胸に抱きついてきた。晴夜は話したいことがあるみたいで、少しそわそわしていた。

 

「お兄ちゃん、ただいま」


 僕はしゃがんで晴夜の目線に合わせた。

「おかえり、今日の学校はどうだったかな?」

 僕は晴夜の頭を優しく撫でながら尋ねた。


「楽しかった!うーんとね、今日はね、算数でかけ算をやったんだ。これを見て」

 そう言って、プリントを見せてきた。

「九九を縦と横でかけたんだよ」と指差しをしながら教えてくれた。


 プリントには、行と列それぞれに1〜9の数字が書かれた表になっていて、空欄に晴夜の字で答えが書かれていた。

「これに書いて、九九を覚えたんだ。」と嬉しそうにしながら、晴夜は言った。そして、「覚えたから聞いて」と言うと、一から九の段をところどころつっかえながらも、でも最後まで九九を言い切った。



 僕は頷くと「すごいね、晴夜。よく覚えられているね、頑張ったね」と褒めた。





 晴夜は嬉しそうに笑って、話を続けた。

「それからね、今日は図工の授業で絵を描いたんだよ。見て、見て!」と言って、今度はランドセルから絵を取り出して僕に見せてくれた。

「木に止まってる小鳥を描いたの。」


 茶色や水色、黄緑色のクレオンでメジロと思われる絵が描かれていた。体が黄緑色で目の回りがが白いという特徴が、上手く表現されていた。

「上手に描けているね、晴夜。」


「ありがとう、お兄ちゃん」

 晴夜はまた嬉しそうにしながら、絵をランドセルに戻して、僕に抱きついたまま、話を続けた。

「お兄ちゃん、おやつ食べた?」


「まだ、食べていないよ。一緒に食べようか」と僕は言って立ち、キッチンの棚の方へ行き、クッキーと食器棚から取り出したコップに麦茶を注いで、リビングのテーブルに置いた。



 晴夜は行儀良く、座って待っていた。その後も、20分ほど学校の話の続きをしながら、クッキーと麦茶を飲んだ。

 


 



 晴夜と一緒におやつを食べ終わった後、僕は椅子に座ったまま、明日のテストについて考えていた。数学Iと生物基礎も含めてだ。明日に向けてもう一度、漏れがないか確認しておこうと思っていた。


「晴夜は宿題はこれから?」


「うん、漢字練習が残っているんだ。お兄ちゃんはテストがあるんだよね」


「そうだね、明日はテストがあるから、この後は勉強しようと思っているんだ。それと、今日はまた体調を崩さないように早めに寝るつもりだよ。」


「応援しているね!」


 僕はその言葉に力を貰って、明日からのテストに備えて、勉強を始めようと思い、勉強机に向かった。かばんから教科書、ノートとドリルを机の上に出すと、僕は英語の振り返りから始めた。




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