第三話 神社に到着、そして
階段ではスペースがないから、手すりを掴み、一旦階段を降りることにした。
降り終わって、地面に座りながら、左膝を出して、傷を確認した。さしていた傘は肩にかけた。
ポケットから、ハンカチを取り出して、擦りむけた膝から出る血を拭き取った。
「うっ…」
拭き取っている最中、爪が傷に少し擦ってしまって痛かった。
傷口は、なかなかに血が止まらなかったので、傷口を強く抑えた。
一応血は全て拭ったけど、未だ患部の痛みは引かず、赤くヒリヒリと腫れてしまっていた。アブに刺された後みたいだ。
僕はこの痛みをどう解消しようか悩んだ。これから、家に帰って氷で冷やすのか、または、自分の未熟な魔法を使って冷やすのかということを。
家に帰って冷やすのなら、痛みが伴いながら帰ることになる。僕はそこまで痛みに耐性があるわけではないから、痛みに顔を顰め、足を引き摺りながら、帰ることになるかもしれない。
魔法を使って冷やすのなら、水属性魔法を使うことになるけど、
いやでも… 、傷の痛みで魔法に集中できないかもしれない。苦手な魔法を果たして、こんな状態で、まともに操ることができるのか。
ここには今誰もいないけど、今の僕を見たら
否と答えるだろう。
「どうしよう」
声に出しても、誰かから返事が返ってくるわけではない。
数分悩んだ末に僕は、
生活魔法という手段を取ることにした。
生活魔法は、名前の通り生活で使う魔法で、使い方を教えてもらわなくても、魔力を持っていれば、誰でも簡単に使える魔法である。その魔法は、属性がないので、属性の適性関係なく使える。
僕は傷口に手を当てて、こう紡いだ。
「冷やせ」
全身から少しずつ、血管を通りながら、手に魔力が集まるのを感じた。
そして、手の先が少しだけ熱くなった後、
手の先から冷気が出てきて、僕の傷口を冷やした。手のひらから、白く光り輝く光の玉が出て僕の傷を癒した。
時間にして5分ほど。
まだ、腫れたままだけど、だんだん痛みが引いてきた気がする。
魔力をだんだん調節しながら、引っ込めた。
僕は、うまく冷やせたようで嬉しかった。
痛みが落ち着いたから、絆創膏を貼った。家から、絆創膏は少し太めのものを持ってきていたから、サイズはちょうど傷を覆うことができて、バッチリだ。
生活魔法にはもう一つ特徴がある。他の魔法では、あり得ないことだけど、明確に魔法の名前がないということだ。
名前がないからこその特徴だけど、魔法使用時に命令形で使うと、この効果は大きくなるんだ。
だから、周りの気温が体感5度ぐらい下がっている気がしたけど、でも僕はあまり気にせず、今度こそ神社の階段を登ることにした。
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