第3話 無の悪魔の向き不向き

 カフェの席に座り、向かいに座っている人間に話しかける。


「君は何がほしいの?」

「お...俺、力が欲しくて...あいつらを...俺を陥れたあいつらを殺したいんだ...」

「なるほど。理由は言わなくてもよかったけど...まぁそうね。なら私ではなく伊知いちの元を訪ねて。」

「ありがとうございます...様。」

「その名前で呼ばないで。今は癒楽ゆらという名前よ。」


 この世界では、いろんな種類の悪魔がいる。

 皆、個性があり、突飛つした能力をそれぞれが持っている。

 その中で、一番力が強いのはだ。


 無の悪魔には、人間時の名前と、悪魔としての名前がある。

 人化した際の名前は偽名であり、悪魔の際の名前が本名である。


 闇の情報・癒楽ゆら。本名・ラク=フレア

 海の加護・素詩すし。本名・スシ=フレア

 力の剣技・伊知いち。本名・イチ=レイド

 自然創生・久留くる。本名・クミ=リンフォ

 人間擬態・真衣まい。本名・リア=スティル


 の5人が無の悪魔であり、その力を使い契約をする。

 悪魔は、契約者が多くなれば多くなるほど強くなる。


そして、自分で人間になることはできるが、言葉をあまり多く喋りすぎると悪魔に戻ってしまうので、人間擬態のリア=スティルを尋ねる人もいる。


 癒楽ゆらは無の悪魔の中で一番契約者が多く、無の悪魔のリーダー的ポジションである。

 情報を提供できる能力だが、力はかなり強い。

 強い人や他の人外の力の情報を抜き取り、自分でそれを再現することができる。

 更に、嘘を見抜くこともできる。

 なので、悪魔討伐しに来た人か、契約しに来た人かを判断することも容易いため、契約したい内容を聞くと、オススメの悪魔を紹介する。


「あの、癒楽ゆら様。伊知いち様は何処に居るのでしょうか。」

「...このことを聞いた人は口外しようとした瞬間、首が飛ぶわ。聞くということは、それでもいいのよね?」

「はい」

伊知いちは闘技場によくいるわよ。友達のと大体戦っているからわかりやすいわ。」

「わかりました...。」


「...さーてと。暇ね。」


 だが、彼女は他の無の悪魔について知らない。

 知っているのは情報のみで、ネットを通じて話している。

 なので顔はわからないが、性格や周りの人間関係などは把握している。


輝羅てらちゃんの作品でも見ていようかな...」


 輝羅てらちゃんは普通の人間だが、私の友達である。

 ネッ友だけどかなり優しいと思う。


 悪魔の私に...話しかけてくれたから。


yurra-mu

『輝羅ちゃーん暇!』

terarann-2010

『だね〜w』

yurra-mu

『そういえば前言ってたFAってまだ未完成?』

terarann-2010

『もう少しで終わるよ!!』


ありきたりの日常会話のよう。

だけどそれは暇潰しにもなる。


「...いつかリアルで会ってみたいな。その時に人間擬態の悪魔、リアちゃんともう一度会わないと。悪魔の状態じゃきっと怯えられる。」


そう呟き、飲みかけのコーヒーを飲んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る