第8話
おいらは、そうまである。
この家の仔になって、恐ろしい奴を見つけたのである。
それは…
買い物袋だ!
奴は、ガサガサと嫌な音をさせるだけではなく、見た目も気持ち悪いのである。
初めて買い物袋を見た時は、恐ろしさのあまり粗相をしてしまった位だ。
それなのに、お世話係は平気な顔で買い物袋を持って来るのである。
お世話係が一人でお出かけする時は、帰って来るとお里の匂いがするのである。
父ちゃん、母ちゃんの匂いだけ連れてくるのだ。
そして、あの恐ろしい買い物袋を持って来るのだ!
しかし、あの袋の中には美味しいおやつや、ご飯が入っている事も知っているのだ。
お世話係は買い物袋の中から、いろんな物を出してくれる。
おいらの大好物も出て来るから、買い物袋は良い奴なのかもしれない。
だが、おいらはどうしても、受け入れられないのである。
買い物袋が放置されていると、こっそり近寄って中身を確認するのだが…
鼻を付けた途端ガサッと音がして、買い物袋が動くのだ!
恐ろしいのである。
アイツは、無害な振りをしているが、おいらを閉じ込めようと画策しているのだ。
絶対に隙を与えては、いけない奴なのだ。
なのに、どうしても気になって近寄ってしまうのだ。
美味しい匂いに誘われて、おいらは買い物袋に近寄ってしまうのである。
後ろ脚は何時でも逃げられるように、出来るだけ離しておくのがコツだ。
前脚で踏ん張って鼻をクンクンさせると、香ばしい良い匂いがするのだ。
良い香りにうっとりとし、思わず気を抜いた瞬間!
買い物袋が襲い掛かって来たのである!
とうとう本性を出したのだ。
おいらはまんまと罠にハマって、頭を食われてしまったのである。
真っ暗なのだ。
逃げても、逃げても買い物袋はおいらの頭に食らい付き、離れないのである。
これは大変なのだ。
部屋中を走り回って居たら、お世話係が抱き上げてくれた。
しかし、買い物袋はずっと頭を食っているのだ。
おいらはグルングルン身体を回して振り払おうとしたのだが、上手くいかないのである。
そのうち、お世話係の手も離れてしまったのだ!
落ちると思ったのだが、絨毯の上に優しく降ろされただけだった。
気が付いたら、買い物袋も無くなっていたのだ。
いったい,何が起こったと言うのだろう?
その後おいらは、お世話係に注意されたのである。
買い物袋を、悪戯してはいけないと言われたのだ!
違うのだ、悪戯していないのだ、食われたのだ。
どんなに説明しても、お世話係には通じなかったのである。
そしてお世話係は、部屋中に散らかったゴミを、片付け始めたのだ。
買い物袋にゴミを入れて、また、床の上に置いたのである。
何故だ!
何故そんな所に、危険な物を置くのだ。
可愛いおいらが、食われてしまうではないか!
お世話係は言ったのだ。
今度ゴミ箱を悪戯したら「お尻ペンペンするからね」と…
ゴミ箱とは何なのだ?
謎が増えた。
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