第7話
おいらは、そうまである。
お散歩デビューを楽しみにしていたのだが…
全然楽しくなかったのだ!
毎日のお散歩が、辛いのである。
おいらは、一人で歩きたいのに「日本犬」が、付いてくるのだ。
何故なのだ!
お前は一匹で、お散歩に行ける筈ではないのか?
おいらは知っているのだ。
勝手にお散歩をして、帰って来る能力を、あいつが持っている事を…
なのにだ「日本犬」はいつも、お世話係とお散歩に行くのを、楽しみにしているのだ。
お散歩の時間になると、野太い声で甘えて鳴くのだ。
お散歩に行く時間だと、お世話係にかわい子ぶって催促するのだが…
正直可愛くないと、思っている。
なのに、お世話係は優しく「日本犬」の頭を撫でて、お散歩に行くのだ。
おいらの方が、絶対可愛いのに!
だから、お散歩はお世話係とおいらの二人で行くのが良いと思う。
しかし…
何故か二人と一匹で行く事になるのだ。
あいつが二歩で行く距離を、おいらは十歩、歩かなければならない。
四本ある足を、フル回転させながら付いて行くのは、至難の業なのである。
一生懸命歩いて、足を回転させているのだが…
頭が追い付かなくなるのだ。
頭が追い付かなくなると、足が絡まって転んでしまう。
コロンっと、三回転してしまうので、慌てて起き上がるのだ。
恥ずかしくて、顔を隠したくなるのに、止まってくれないのだ!
あいつはどんどん先に進んで、おいらの事なんてお構いなしなのである。
お世話係は、おいらが三回転したら、凄いねって褒めてくれた。
え、凄いのか?
おいらの三回転は、褒めて貰えるようだ!
だったら、どんどん走ってもっと回転するのだ。
そしたら、沢山褒めて貰って「日本犬」を、悔しがらせる事が出来るのだ。
走って、走って、走りまく…れない…
何故だ!
今度はお世話係に、注意されたのだ。
リードを引っ張ったら駄目だと、言われたのである。
おいらは走っただけなのに…
今のは勘違いだったと思ってまた走ったら、やっぱり注意されたのだ。
何度やっても注意されるから、勘違いではないのだ。
お散歩の時は、走っちゃ駄目だと学習した。
おいらは一つ賢くなったのである。
フフン(ドヤ顔)
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