第6話

おいらは、そうまである

夢はスタンダードプードルになる事なのだ。

生後半年には、ミニチュアプードルになって。

一歳になれば、大型犬の仲間入りが出来るのである。

そしてお里帰りをしたら、父ちゃんと母ちゃんを、驚かせるのだ。

その為には、ちゃんとご飯を食べないと駄目なのである。

無理して残していたら、おやつを貰えなくなってしまったのだ。

死活問題なのだ。

だから今は、モリモリたべているのである。

お世話係も喜んでいるのだ。

そしておいらは、猛特訓中なのだ!

「お座り」は、お里で覚えて来たのである。

しかし、「お手」と「おかわり」が面倒くさいのだ。

「お座り・お手・おかわり」ではなく…

「お座り・両手」になってしまうのである。

どうせ「お手」の次は「おかわり」と言うから、両方出したって良いではないか!

なのに、お世話係は許してくれないのである。

そして「ふせ」もやらなければならないのだ。

おいらの頭は、大混乱なのである。

だけど、上手に出来たら、ご褒美が貰えるのである。

頭も撫でてくれ、褒めて貰えるのは嬉しいのだ。

毎日「お座り・お手・おかわり・ふせ」を特訓していたら…

おやつを見ただけで身体が勝手に動く様になった。

「お座り・お手・おかわり・両手」からの~ダイナミック「ふせ~」

おいらの身体はモップの様に、埃を吸い寄せながら、滑るのであった。

ご褒美を見ただけで、今日も身体が勝手に反応する!

「お座らない・両手」からの。

「ダイナミック・ウルトラ・スーパー・ふせ~」なのである。

何度もやるのである。

そして尻尾は激しく揺れるのであった。

おいらはクールに決めたいのに、尻尾は勝手に揺れるのだ

おいらの意思とは全く関係なく揺れて、お尻迄揺れてしまうのである。

そしてご褒美を貰うのだが…

最近では、小さなビスケットが一個。

何故なのだ!

こんなに頑張ったのに、たったこれだけなのか?

もう一度やるのだ!

オートモードと言われても、気にしないのだ。

お世話係を見つけたら、何度でもやるのだ。

両手~うう~んモジモジしてて落ち着かないのである。

ご褒美がほしいのだ。

やっと二個目のビスケットを貰ったのに…

もう終わりなのか?

おいらはまだ出来るのだ!

「ダイナミックふせ」を披露するのに、お世話係はご褒美をくれないのである!

それでは駄目なのだ、大型犬になれないのである。

ご飯も足りないのである。沢山ほしいのである。

どんなにおねだりしても…

一日に貰える量は決まっていると「日本犬」が言ったのだ。

おいらは知らなかったのだ

頑張っても、体重で食べ物の量が決まっていると、言う事を。

そして…

おいらは大型犬になれないと、言う事も…


嘘だと言って…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る