第3話

おいらは、そうまである。

日本犬とは、部屋を離されたのである。

当然なのだ!あいつとは、仲良く出来ない恐ろしい奴なのだ。

しかし、ここには…

日本犬よりも、もっと恐ろしい奴が、いたのである。

二足歩行の「文鳥」とか言う奴なのだ。

ちっちゃい癖に、おいらよりも高く飛べるのだ。

そして鋭い爪と、鋭いくちばしで、攻撃してくるのである。

今もおいらの背中の上に居るのだ。

鋭い爪が食い込んで、痛いのである。

痛いから走り回るのに、もっと爪が食い込んで、もっと痛くなるのだ。

我慢出来ずに転げまわると、飛んで行くのである。

良かったのだ、痛いのは嫌なのだ。

文鳥は、暇なし喋っているのである。

朝から晩まで、ずっと喋っているのだ。

ご飯を食べている時も、ゴニョゴニョ言っているのだが…

何を話しているのかは、分からないのである。

そしておいらと目が合うと、飛んで来くるのだ。

真っ赤な鋭いくちばしで攻撃されると、痛いのである。

グルルルルと喉を鳴らして、目を三角にして、身体を大きく回すのだ。

おいらを睨みながら、何回も身体をクルクルと回しながら、威嚇するのだ。

何処からが頭で、何処からが身体なのか分からないが、恐ろしいのである。

すぐ背中に乗って来て、おいらを攻撃するのだ。

おいらの薄っぺらな皮膚を、引っ張るのである。

何度も引っ張るから、おいらの大事な産毛が、抜けてしまうのだ。

悲しいのだ、とっても悲しいのだ。

薄毛がより一層薄くなっているのに、文鳥は容赦の無い奴なのだ。

大事な、大事な、おいらの産毛。

身体を擦り付けても、戻って来てはくれないのだ。

風に舞って、飛んでいく産毛。

さようなら~と言いながら、フワフワと壁際に、集まって行くのだ。

どんなにおいらが逃げ回っても、文鳥は直ぐ背中に乗って来る。

おいらはサークルの外には、出られないのに。

文鳥はお世話係を見つけると、肩に止まって何処にでも着いていくのだ。

狡い奴なのだ!お世話係には、攻撃しないのである。

綺麗な声で歌って、踊りも披露するのである。

お世話係の側で、おいらの事を見下すのだ。

悔しいのである。

お世話係は、文鳥の本性を、知らないのだ。

まだ日本犬の方が、マシだったのである。

あいつは威嚇しても、攻撃はして来なかったのだ。

そしておいらは、今日も逃げ回るのである。


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