第2話

おいらは、そうまである。

お世話係が出来たら、立派な名前を貰えると聞いていたのである。

どうやらお世話係の「推し」と、同じ名前らしいのだが…

「推し」とは、なんなのだ?どんな犬種なのだ?

ここでは皆「そうま」なのか!!!

それは嫌なのだ。

だからおいらは、「プーちゃん」でいいのだ。

お世話係が「そうま」と呼んでも知らんぷりするのである。

お世話係が「プーちゃん」と、呼んだら尻尾を振ってやるのだ!

なのに…なのにだ!

「そうま」でも「プーちゃん」でも、呼ばれたら勝手に尻尾が、揺れるのである。

仕方ないのである。

尻尾はいつでも、勝手に揺れている奴なのである。

今も揺れているのだ。

細くて白くて長い物を見つけたから、カミカミしているのだ。

別に楽しくはないのに、勝手に揺れるのだ。

でもお世話係が来て、取り上げられたのだ!

返して欲しいのだ、おいらのだから、カミカミしたいのに…

あれはスマホを充電する、大切な物だったらしい。

お世話係が悲しそうにしていたのだ。

そしておいらは、ゲージの中に入れられたのだ。

外の世界は、不思議がいっぱいあったのだ。

楽しいのだ、遊びたいのだ。

それなのにお世話係は、すぐおいらをゲージに入れるのである。

出たいのである。

ご不浄なのだ、出して欲しいのだ!

ゲージの中で暴れたが、出して貰えなかったのだ。

我慢できなくなって、お粗相をしてしまったのだ。

恥ずかしいのである。

ご不浄の傍に居るのは、嫌なのである。

隅っこで小さくなっていたら、お世話係が、沢山褒めてくれたのだ。

良い事をしたのだ。

何が良い事なのかは、分からないが、嬉しいのである。

ゲージからも出して貰えて、嬉しくて走り回ったのだ。

走る事は大好きだ、全速力で走った、障害物をよけて走ったのだ。

何かにぶつかったのだ。

止まってみたが、分からないのである。

凄い音がしたので、お世話係がおいらを抱き上げた。

頭を一生懸命撫でてくれるのである。

気持ちいいのである。

どうやら、コタツと言うテーブルの下を走った時に、頭をぶつけたらしい。

心配ないのだ、おいらは痛くなかったのだ。

しかし…おいらはサークルの中に入れられてしまったのである。


何故なのだ!

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