おいらは、そうまである。
紫
第1話
おいらは、トイプードルのアプリコット。
三兄弟の末っ子として、産まれ落ちたのである。
兄弟たちはもう居ない。
後から産まれ落ちた遊び相手も、居なくなった。
おいらのお世話係は、何時迎えに来るんだ?
今日も新しいお世話係がやって来た。
一生懸命アピールしたのに…
おいらのお世話係ではなかったようだ。
ここのお世話係は、おいらを「プーちゃん」と呼ぶ。
プードルだから、プーちゃん…皆「プーちゃん」じゃないか!
だが呼ばれると反射的に尻尾が揺れるのである。
今日は別の「プーちゃん」が居なくなった。
同じアプリコットなのに…ここのお世話係が話してる。
どうやらおいらは、選ばれなかったようだ。
これ以上大きくなったら、お世話係が出来なくなってしまう。
これは大変なのである!
外の世界を見たいのである!
おいらは毎日毎日、一生懸命アピールしたのだ!
しかし…選ばれないのである。
不貞腐れておもちゃに八つ当たりしていたら、お世話係に抱きあげられた。
やけくそで、アピールしてやったのだ。
どうせおいらは、選ばれないのである。
そのお世話係は、次ぎの日もやって来た、その次の日も来た。
そして他の「プーちゃん」を抱っこしたのだ。
期待していたのに…
やっぱりおいらは選ばれない。
暫くしてから、またあのお世話係が、来たのである。
どうやら悩んでいるらしい…
おいらは一生懸命尻尾を振って、アピールした。
もげて飛んでっても構わない!
振って振って振りまくったが…
お世話係は行ってしまった。
やっぱり、選ばれなかったのである。
次の日、尻尾が筋肉痛になった。
もう諦めるか…
父ちゃんと母ちゃんみたいに、ここの仔になるのである。
そう思って不貞寝していたら、狭いゲージに入れられたのだ。
ここの奴じゃない匂いがするゲージだ。
おいらは何処かへ連れて行かれた。
ここのお世話係が、皆笑顔で手を振ってる。
これはもしかして!
とうとうおいらにも、お世話係が出来たのか?
何度も会いに来てた、お世話係の匂いがするのである。
初めて外に出た。
暑かったが我慢するのだ。
暫く揺られて気持ち悪くなっても、我慢したのである。
もう限界だと思った時、やっとゲージから出して貰ったのだが。
目の前に巨大な狼が居た~~~!!!
奴は日本犬だと言っている。
威嚇されたのである。
恐ろしいのである。
お世話係は、仲良くしろと言ったが、無理である!
産まれ落ちてから、113日目の体験だったのである。
帰りたい…
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